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67 本当の優勝者

アディーが連れていかれたのを確認した国王は再び露店祭の優勝者の紹介を行う。


「さて、これで問題はなくなった。再び紹介しよう、クレハ商会のクレハだ。クレハ前へきたまえ」


クレハは先ほどまで唖然としていたが、王の声に我に返り貴族たちが見つめる前へと進む。


「さてクレハ、優勝おめでとう。優勝者には先日も言ったように商店に私の名を使うことを許そう。詳しい話は、後ほど私の部屋で行う。それに、この間の塩の件は感謝しているぞ。さて皆、今宵は楽しんでくれ!」


王は小声でクレハに塩の礼を言う。それにクレハは少しばかり驚く。まさか、国王自らが自分に礼を言うなんて思ってもみなかったからだ。


国王の声によって晩餐会が始まった。晩餐会が始まるとそれぞれの派閥のみで集まっているのか、貴族たちは彼ら同士のグループで話し合っているようだ。クレハも下手に貴族と関わるよりはルークと話っていたほうが楽しく感じていたため、特に自分たちから話に行くことはない。


次第に晩餐会も終盤に差し掛かりクレハ達を呼ぶものが訪れる。


「失礼します、クレハ様。陛下がお待ちですので、お連れの方と共に来ていただけますか?」


先ほど国王が言っていた褒美の件だろう。クレハ達は王のもとに向かうため、呼びに来た人間についていく。


「陛下、失礼します。クレハ様がお見えになられました」


「通してくれ」


クレハは部屋に通されると椅子に腰かけるように王から言われたため、ルークと共に椅子に座る。そこには国王のほかに王妃もいた。


「さて、まずは露店祭、優勝おめでとうと言わせてくれ。それに、塩の件はとても助かった。君たちの商会には本当に助けられたな。もし困ったことがあればいつでも私に相談してくれ」


「ありがとうございます、陛下。それに塩の件は私たちも利益を頂いているので問題ありません」


「うむ、そう言ってくれるとありがたい。さて、それで新しい商店の件だが、今日告げたばかりで何も決まっていないだろう。決まり次第、報告してくれればそれでいい」


「その件ですが、少し陛下にお願いしたいことがあるのです」


クレハは以前から考えていた新しいサービスの提案を行う。


「ほう、なんだ?君には多大な恩があるからな、できるだけ叶えるつもりだ」


国王は恩人であるクレハの願いをかなえるために話しを聞くのであった。


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