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56 ノイマンへの遺恨

「ノイマン、あんたまだ商人なんてやっていたのね。いつまでこんなことを続けるのかしら」


そう話しかけてきたのは初老の女性だった。彼女のあまりの失礼な発言にクレハは何事かと非難する。


「どなたかは分かりませんが、少し失礼ではないですか?ノイマンさんは大きな商会を経営されている立派な方ですよ」


「立派?このノイマンが立派だって、小娘、面白いことを言うじゃないか」


「こ、小娘。確かに私はあなたから見れば子供くらい年下ではありますが、小娘とはずいぶん失礼ではありませんか?」


「小娘は小娘だよ。それよりあんたノイマンの知り合いなのかい?こいつと組むならやめといたほうがいい。なにもかも、全部持っていかれちまうからね」


クレハは彼女に何を言っても自分のことを小娘と呼ぶのをやめないと分かるとあきれ顔になり、あきらめる。しかし、クレハは彼女が後に言ったノイマンと組めばすべてを奪われるという言葉が気になる。しかしクレハはノイマンのことを信頼しており、彼女が嘘の情報を吹聴しているのではないかと考え、さらに非難する。


「もう私のことは好きに呼んで構いません。それより、ノイマンさんと組めばすべてを奪われるというのは些か失礼だと思いますよ。あなたも商人であれば間違った情報を流すことを恥じるべきですよ」


彼女の態度にクレハは注意を促したがそれを止めたのはノイマンだった。


「クレハさん、いいんですよ。彼女はアディー、私の古い友人です」


「はっ、あんたに友人なんて言われたくないね。私の友人はとっくの昔に全員死んださ。それよりノイマン、あんたいつまで商人をする気だい?よくも私の前で商人なんてできるね。あたしはあんたを許す気なんてないよ。私はこの露店祭で陛下に認められてあんたの商会を必ずつぶしてやる。必ずだ、私を裏切ったあんたが大きな商会を未だにやっているなんて許せない!あんただけ幸せになるなんて絶対に許さない!首を洗って待ってな」


アディーはそう宣言すると彼らの元を去っていった。クレハはアディーの言いように、アディーとノイマンの間に何があったのか気になってしまい、ついノイマンに尋ねてしまう。また、ライラも自分の商会のこととあって気になっているようでそのことに関して、聞きたがっている。


「ノイマンさん、いったい彼女と何があったんですか?もしお話ししたくないのであればこれ以上は何も聞きません。ですが話していただけたら何か手伝えることがあるかもしれません」


「そうよ、お父さん、あの人と何があったの?私も商会の一員でしょ?なら私にも聞く権利があるよね?」


「そうですね、私も誰かに話せば少しだけ楽になるかもしれません。クレハさん、ライラも聞いてくれますか?」


そう告げるとノイマンは顔をうつ向かせながら二人に自らの過去を語りだした。



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