53 野生の勘
ルークはノイマンとクレハの話を聞いており、クレハに勝算はあるのかと尋ねる。
「オーナー、ノイマンさんに勝つとは言ったものの勝算はあるんですか?向こうは大手の商会でこちらとは人数もかなり違いますよね。本当に勝てるんですか?」
ルークはクレハに不安そうに尋ねるがクレハは特に心配していないようだった。
「その点に関しては問題ないです。早速、試作を始めなければなりませんね。私が王都に参加の登録を済ませている間にルークには試作の材料をそろえてほしいです。まず、たくさんのジャガイモと鶏肉、油を用意してください。あとは、お酒と塩くらいですかね。ああ、あとは近所の商会からニンニクとショウガも買ってきてくれますか?」
クレハはルークに必要なものを伝える。
「オーナー、これでいったい何を作るんですか?」
ルークは毎度のごとくクレハに何をするつもりなのかを尋ねるが秘密にされてしまう。
「それはまだ秘密ですよ、今から言っていたら驚きが無くなってしまうじゃないですか。それではルーク頼みましたよ」
クレハは早速その足で王都に向かうのであった。王都に向かうと門の兵士に大会委員会の場所を聞き、クレハは早速登録に向かう。クレハが大会委員会に着くと登録書に記入を行い参加の意思を伝える。そんな彼女に声をかける者がいたのだ。
「もしかしてクレハ様ですか?」
クレハに声をかけたのは王妃の専属メイドであるサラだった。
「サラ様、どうしてこちらに?ここは大会委員会の施設ではないのですか?」
クレハはここにサラがいることに疑問を感じ尋ねる。
「いえ、なぜか新たな食べ物が私を呼んでいる気がしたのでこちらに来てみたのですが?おや、クレハ様もしかして露店祭にご参加されるのですか?」
「はい、ノイマン商会のノイマンさんに勧めて頂き、参加しようと考えました」
「そ、それはもしかして、その露店祭で新しい食べ物を販売されるつもりですか?」
サラはおもわずクレハに近づき、目を輝かせながら訪ねる。
「ええ、そうですわね。少し新しい食べ物を思いつきましたのでそれを販売しようかと」
クレハが若干引きながらサラの問いに答えると、その瞬間サラは狂喜乱舞する。
「ああ、新しい食べ物。なんと素晴らしいことなんでしょう。クレハ商会が生み出す新しい食べ物なら必ず美味しいはずです!クレハ様、その食べ物は何というのですか?」
クレハはサラの行動と対象的に努めて冷静に質問に答える。
「それは秘密ですよ。販売し始めてからのお楽しみです」
「ああああ、そんなクレハ様!殺生です。生殺しですよ!お願いです、教えてください」
サラは狂喜乱舞した後に膝をつき祈るような姿勢で涙を流す。サラの行動にドン引きなクレハは後ずさりしながらサラの元を去る。それに気づいたサラはクレハを追いかけていくのだった。
「申し訳ありませんが、私はこれで失礼させていただきますわ」
「クレハ様、お待ちください。せめて、名前だけでも、名前だけでも教えてください!クレハ様ー!」
サラたちを見ている周りの住人達も彼女の行動に引いており、だれも目を合わせないようにするのだった。
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