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51 シルドラ家の破滅

ライスオット帝国の皇帝の元に一つの連絡がやってきた。その内容はライスオット帝国とコーカリアス王国の国境を任せているシルドラ家の当主がコーカリアス王国によって捕らえられたというものだった。その報告を宰相が皇帝に行う。


「陛下、どうやらコーカリアス王国によって国境付近を任せていたシルドラ家の当主が捕縛されたようです。どうやら、王国の地で貴族として横暴な振る舞いをした上に、コーカリアス王国の王が直々に兵士たちに護衛するように命令していた商会に対して、襲撃を行おうとしたところを現行犯で取り押さえられたらしいです。向こうの王は大変お怒りらしく、伯爵の身柄と引き換えに莫大な賠償金を要求してきました。期日までに支払いをしなければ処刑を行うと申しておりますがいかがいたしますか?」


「シルドラ家?そういえばそんな奴いたな。確かその家の娘と俺の息子が婚約していたよな?だが最近、婚約破棄していなかったか?」


「さようです。第一皇女様の命で第四皇子との婚約は白紙に戻りました。あの家はもともと問題ばかり起こしているようで、私も最近、諸国会議で迷惑を受けていました」


宰相の話を聞き、皇帝はいとも簡単にクリフを切り捨てる。


「そうか、お前がそこまで言うなら必要ないな。それに他国で貴族の権利を主張するなんて馬鹿をやりだす奴は俺の国にいらねぇ。宰相、この帝国にシルドラ家なんていう伯爵家は存在してないよな?」


皇帝は宰相に尋ねるが本当に尋ねたわけではない。それはある意味、命令であり絶対のことであった。宰相は皇帝の問いに直ちに答える。


「はい、もちろんでございます。そんな貴族家は存在していませんでした」




その夜、皇帝の命を遂行するためにシルドラ家に多数の兵士たちが向かった。しかし、シルドラ家には誰もおらず、価値のある物も一切消えていた。兵士たちは周囲を探すも誰一人と見つけることはできなかった。家にいた人間たちはどこへ消えてしまったのだろうか?




コーカリアス王国には一通の親書が送られた。その中にはシルドラ家などという貴族家は帝国に存在せず、帝国の名をかたっている盗賊であると。そのため、早急に処刑をしてほしいとの内容であった。親書のほかには謝礼だろうか口止め料だろうか、かなりの額の金額が用意されていた。


王国側は帝国の隠蔽だと考えていたが、これ以上帝国を追い詰めれば何が起こるか分からないと考えたため、それ以上何も言うことができなかった。そのため、クリフはただの盗賊として誰にも知られず処刑されるのであった。その際、クリフは特に抵抗することもなく処刑された。そのまなざしには既に光が宿っていなかった。


その日シルドラ家は帝国からその歴史を消された。


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