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48 シルドラ家に与えられたチャンス

ここは、ライスオット帝国の宰相の執務室。ここに、シルドラ家当主、クリフは呼び出されていた。彼は先日、宰相に呼ばれた際にコーカリアス王国の王妃のお気に入りの商会であるクレハ商会にひどい仕打ちをしたとして、諸国会議で貿易が減ったことを宰相に怒鳴られていたのだ。そのため、この場所には良い思いではなく、次は何を言われるのかと足取りは重かった。クリフは宰相の執務室に入る許可を得る。


「宰相殿、シルドラ家当主、クリフでございます」


「入れ」


ただそれだけ、宰相はクリフに告げるのだった。クリフが宰相の執務室に入ると無言で椅子に座るように促される。クリフが座るのを確認すると宰相は重い口を開く。


「クリフ殿、今回はなぜお呼びしたのか分かりますかな?」


宰相はあたかも呼び出すのが当たり前だというようにクリフに尋ねるが、クリフは何故呼び出されたのかが分からない。クリフがなかなか答えないことに宰相の目つきはしだいに険しくなり、クリフは冷や汗をかき始める。クリフはここで何も言わないよりは誠意を見せたほうが良いと考え素直に分からないことを伝える。


「申し訳ございません、宰相殿。私には何が原因でこの場にお呼びになられたのか分かりかねます」


宰相はクリフの言葉を聞き、ため息をつきながら険しい顔で話し始める。


「最近、アルタル王国から岩塩が発掘されたというのは知っているな。そこで、アルタル王国側から塩は貴重なため、こちらの出す条件をのめば定期的に売ってやると言い出したのだ。だがそこで、コーカリアス王国が新たに塩を普及させ始めて各国は一斉にコーカリアス王国に申し出を出してほとんど承認されたのだ。我が国以外はな、なぜだかわかるか?クリフ殿」


クリフは宰相の機嫌を損ねないように必死に考えるが何も思いつかない。


「申し訳ありません。宰相殿が言われている原因は私には思いつきません」


宰相は次第に顔を赤くし始めるとクリフに怒りをぶつける。


「いいか、私がコーカリアス王国の宰相に塩の件で直接頼みに行ったら、王妃様の恩人であるクレハ殿に手を出すような貴族が伯爵をしている国とは今後、一切取引を行わないと言われたのだ。貴様が手を出した商会のことで我が国はコーカリアス王国と取引ができなくなったのだぞ。それがどれほどの損失なのか貴様に理解できるのか?」


宰相の怒り様にクリフはただ黙っていることしかできなかった。


「いいか、今すぐにコーカリアス王国に行ってクレハ商会の会頭に謝罪してこい!もし許しを得なければシルドラ家は伯爵家にはふさわしくないと陛下に進言することになるぞ!」


宰相はクリフに最後のチャンスを与えることを伝える。それを聞き、クリフはすぐに宰相の執務室を飛び出したのだった。


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