43 クレハの知識炸裂
「クレハ、久しぶりですね。まずは来てくれてありがとう。早速で悪いのだけれど、こちらとしても時間がないので本題に入らせてもらうわ。クレハも知っているとは思うけど岩塩が存在しない国では塩は貴重で様々な政治的取引に使われることがあるわ。そして、最近アルタル王国でも岩塩が発見されたの。コーカリアス王国もアルタル王国に岩塩の取引を持ち掛けたけど到底受け入れられないような要求を突き付けられたの。でも、コーカリアス王国としてはその条件をのんででも、塩の安定供給は重要だと考えているの。ですから、その件に関して城で連日の会議を行っていますが何も解決策が浮かびません。しかし、ここで要求を呑んでしまえば、さらにアルタル王国は増長すること間違いないと私はにらんでいます。クレハ、あなたは数々の奇抜なアイデアで商品を生み出してきましたね。どうか、助けていただけないでしょうか?このままでは、陛下が疲労で倒れてしまいます。どうかお願いします」
クレハに向かい、王妃は頭を下げる。それにつられて、隣に控えているメイドのサラも頭を下げる。本来は気さくな王妃であっても王以外に頭を下げることはなかった。それほど、今回の件で王のことを心配しているのだ。
そんな王妃の姿を見て、クレハは何か自分にできることはないかと必死に頭を働かせる。その時、前世でやっていた理科の実験を思い出す。そのアイデアを王妃に伝える。
「王妃様、この国は海に面している港町がありますよね。それならば、海水から塩を作ることはできますよね」
クレハが何か思いついたのだと王妃は頭を上げ、その話を聞く。しかし、クレハの話を聞くと再び顔をうつ向かせる。
「それではダメなのですよ。海水からは確かに塩を作ることはできますが、苦すぎてとても食べれたものではありません。そうですか、クレハでも難しかったですか」
そう、がっかりする王妃にクレハは問題がないことを伝える。
「それなら大丈夫です。海水から塩を作る際には工夫すれば苦くない塩が作れますよ」
それを聞いた王妃は先ほどまでの顔から一転してクレハに本当のことかと確かめる。
「クレハ、それは本当のことなのですか?本当に海水から苦くない塩が作れるのですか?」
「はい、嘘は申しません。海水を用意していただければすぐにでもお作りすることができます。」
そう告げたクレハの顔は自信に満ちており、その顔を見た王妃は自身の考えが正しかったと感じるのであった。
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