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38 強盗達の正体

ロイはルークが刺されたことに動揺するが、すぐに切り替えルークを刺した男を取り押さえる。ロイの部下たちはすでに残りの強盗達を取り押さえていた。ロイはすぐに部下の一人の医学知識に長けたものを呼び、ルークを治療させる。それを見ていたクレハは倒れたルークの元に急いで駆けつける。


「ルーク、ルーク。しっかりして下さい。目を開けて!」


シルドラ家ではどれだけ家族から過酷な扱いをされようとも涙を流したことがなかったクレハであったが、今はクレハの目には涙があふれていた。そんな彼女を引き離し、ロイの部下は治療を施す。


「これならまだ間に合う、急いで応急処置をして診療所へ連れていきます」


ロイは部下に命じ、ルークを最寄りの診療所へと運ばせる。クレハはその道すがらずっとルークの元を離れないのだった。




ルークを診療所に運ばせたロイは強盗達がなぜこのようなことをしたのかを尋問する。


「おい、お前たちなぜこのようなことをした!」


「ケッ、あいつが悪いんだあいつが、全部ルークのせいだ。あいつに全部盗まれたせいなんだよ!」


そう、騒ぎ立てる者もいれば、別のことを騒ぎ立てる者もいた。


「あのクレハ商会がさっさとこの私に権利を渡さないからこのようなことになるのだ!離せ、私は月に王金貨2枚も売り上げのある商会の会頭だぞ!貴様、こんなことして許されると思っているのか!」


そう彼らは、初めの者が、ルークがもともといたパン屋の店長であり、後の者がクレハ商会の利権を買い取ろうとした傲慢な商人である。傲慢な商人はクレハに商会の権利の売買を断られた後、復讐する機会をうかがっていた。そんな中、彼は酒に溺れている男の話し声を聞いたのだった。


「くそっ、これもすべてクレハ商会のせいだ。あいつらさえいなければ!」


そんな話声を聞いた傲慢な商人はパン屋の店長から話を聞き、共にクレハ商会に復讐するための計画を立て始めた。パン屋の店長は自分からすべてを奪ったルークに復讐するために、傲慢な商人は自らを馬鹿にし、自分の取引を断わったクレハに復讐をするために。



そんな彼らでも、所詮は商人と職人である。彼らの考えた作戦はロイの訓練された部下たちにかなうはずもなく、簡単につかまってしまう。その後、商業組合事件の際に新たに派遣されてきたピトリスの新代官によって二人の裁判が行われる。彼らは他国の王族への襲撃および殺人未遂などの罪に問われ、国家間の関係を著しく脅かしたとして死刑が言い渡された。


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