371 ホルイン伯爵とギュラーの対立
さて、いつの間にか国の王妃を嵌めた大罪人として貴族たちに認識されているホルイン伯爵だが、現状は悲惨なものとなっていた。
ただでさえ、財政が悪化しており、伯爵規模の領地を維持するのも難しいものとなっていたが先日の一件で貴族たちが彼に抱いている心象は最悪なものとなっていた。
だからこそ、誰も彼を融資するものがいなくなり、ホルイン伯爵家はコーカリアス王国で完全に孤立していたのだ。
「クソッ、あの王妃め!あいつのせいで、あいつさえ我慢していれば新しい香水で立ち直れるはずだったのに!」
「親父、どうするんだよ。今じゃ、うちは完全に落ち目だ。この前なんて、男爵家のクソアマから、なめられたんだぞ。」
ホルイン伯爵家は伯爵家という待遇でありながら、既に落ち目の家であった。屋敷のメイドや使用人は既にほとんどが退職しており、領内の住民たちも、もはや彼らのことを領主とは思ってすらいなかったのだ。
だからこそ、ホルイン伯爵家の人間である彼らは後がなく、切羽詰まっていたのだ。
「だからって、どうするんだ!もう、うちには金もないんだぞ。そもそも、お前の杜撰なアイデアが失敗したからだろうが。」
「なっ、親父だって俺のアイデアに賛成しただろうが!」
「うるさい、文句を言うのなら金を生み出すアイデアを出しやがれ!」
最終的にはホルイン伯爵も同意したギュラーのアイデアであったが、彼はその失敗をギュラーのせいにし始めたのだ。これには、流石のギュラーも怒りを覚えてしまう。
「ふざけんじゃねぇ、お前があんな失敗作を出したからだろうが。お前がしくじったせいで、こうなったんだろうが。」
ホルイン伯爵とギュラーは互いに今回の一件の責任を擦り付け合い、対立することになってしまう。そして、最後にはギュラーが家を飛び出すことになるのだった。
そんなギュラーが向かった先は何と学園だったのだ。金を失い、贅沢もできなくなったギュラーが学園に向かった理由はたった一つしかないのだ。
彼は、学園にいる生徒や教師、学園長をターゲットにし、金を集めるつもりだったのだ。もはや、ホルイン伯爵の元では未来が無くなったと考えた彼は自らがホルイン伯爵家の当主となるために動き出すのであった。
しかしながら、この行動がホルイン伯爵家にとっては止めを刺すことになるとは、家をとびだしたギュラーを見送ったホルイン伯爵ですら、思いもしないのであった。
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