327 商人たちの制裁
自分達を嵌めておいて他人のせいにするビスラの態度に業を煮やしたのか、商人の一人が彼に殴りかかる。
「てめぇ、ふざけんなよ!お前が大丈夫だっていうから俺たちはこうして集まったんだろうが。それがどうだ、このままじゃ俺たち全員、領主に歯向かった罪で皆殺しじゃねぇか!」
「そうだ、そうだ。お前が今回の計画が成功すれば領主の信用は無くなるから歯向かったところで問題が無いって言ったから俺はこうして集まったんだぞ!全然失敗してるじゃねぇか、責任取りやがれ。」
彼らの計画ではクレハの信用が一気に地に落ちるはずであったため、たとえ領主に歯向かったところで何も問題が無かった。しかしながら、頼みの綱のコズミィはこちら側にはおらず、むしろ敵側なのだ。元々成功するはずが無い計画であれば話は全く違ってくることになる。
今から犬死となるかもしれないこの状況に自分たちを追い込んだビスラを許せないと商人たちは彼を一斉にタコ殴りにするのであった。
「はい、はい、皆さん、一人残らずとらえてしまってください、特にあそこにいる商人は今回の件の黒幕ですので絶対に逃さないでください。まぁ、あの状況では自分で立ち上がれるかもわかりませんけど。」
そんな光景をしばらく他人事のように眺めていたクレハはそろそろ止めたほうが良いかと兵士たちに命じ、ビスラを含めた商人たちを捕らえるのだった。
「クレハ様、お疲れ様です。わがまま言って連れてきていただいて申し訳ございません。」
「何言っているんですか、今回の件はあなたの警告が無ければ手こずっていたことなんですから何も問題ありませんよ。」
商人たちが全員兵士たちに連れていかれ、クレハは今回の件に関して再度コズミィにお礼を告げる。今回の件は彼女の報告があったからこそ、ここまでスムーズに終わらせることができたからだ。
事前に彼女に今回の件を聞いていなければ今頃は状況を理解することすらできずに、対処が遅れていただろう。だからこそ、クレハは彼女に対して非常に感謝していた。
もちろん、クレハにお礼を言われているコズミィは表情には出していないものの、自分の思い通りに事が進み、笑いが止まらない状況ではあるが。
結局、クレハはそんなコズミィの心境も知らずにさらに彼女を信頼していくのだった。結果的に見れば長いものに巻かれておいたコズミィの一人勝ちである。しかしながら、クレハ自身も予想していなかったが今回の騒動がまた別も問題を引き起こしてしまうのであった。
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