317 お金の稼ぎ方
「あはははっ、めっちゃチョロいじゃん!なにこれ、こんな簡単に商売がうまくいくなんて、どうして今まで真似しなかったんだろう。」
クレハが保険制度に関してルークに説明しているころ、コズミィは商売があまりにも上手くいきすぎていたため、冷静さを失い、笑いが止まらなかった。
今までは自身の努力で商売を成功させていたため、そのありがたみを噛みしめていたが今回はただクレハの真似をしただけで安易に商売がうまくゆき、彼女は舞い上がってしまったのだ。
「会長、確かに加入者は増えていますが支払いのことは考えているんですか?ここまで多くなれば働けなくなる人間なんて沢山出てくると思いますよ。そうなってしまえばいくら加入者が増えても商売として成り立たないんじゃないですか?」
コズミィには彼女の右腕けん商会のNO.2であるナンスという存在がおり、彼の助言で今まで何度も危ない橋を渡ることができていた。だからこそ、ナンスは今の現状では商会にとって危険であるということを彼女に伝えたのだが今の彼女は舞い上がってしまい、全く聞く耳を持たなかったのだ。
「何言ってんのよ、クレハ商会のアイデアを真似してここまで成功しているんだからこのままでいいのよ。もっと早くあの商会のアイデアを真似しておけばよかった、そうすれば今まであんなに苦労することなんてなかったのに。」
「会長、どうしてしまったのですか。確かにあなたはたびたび問題のある発言をしていましたがそのような事を言ったことは今まで一度もなかったではないですか。この商会がここまで大きくなることができたのは会長が今まで人知れず努力をしてきたからこそ成し得た成果ではないですか。
それなのに今の発言は過去のご自分を卑下するような発言です。しっかりして下さい、楽してお金を稼ぐことができて舞い上がってしまうのは理解できますがそれが当たり前だと思ってはダメです!」
「はぁ?楽してお金を稼げるんだからなんだっていいじゃん。結局は稼いだことに変わりはないんだから。」
ナンスは必死にコズミィを説得しようと試みるが今の彼女は生まれて初めて努力もせずに楽をしてお金を稼げたことで周りが見えていなかったのだ。だからこそ、お金の稼ぎ方に関して指摘をしてくる彼が彼女にとってはうっとうしく感じて仕方がなかった。
「ですからそう言うことではないのです、私は自分で何も考えないことで商売をしてしまえばいつか痛い目を見てしまうと言いたいのです。」
「あんた何言ってるの?あの商会はいつもうまくいっているから真似だけしていれば何の努力もしないでお金が勝手に入ってくるのよ。それでいいじゃない、楽できるんだったら楽して何が悪いの。」
「会長!」
「あぁ、もう、うるさい!この話はこれで終わり、あたしがこの商会の会長なんだからあたしがそれでいいって言ったらそれでいいの!
あんたはもう出ていけばいいじゃん、まだ仕事が残っているでしょ。さぁ、あたしにかまってないで、ほら!」
結局、ナンスの必死の説得も彼女に通じることがなく、無理やり部屋を追いだされてしまうのであった。彼女が現段階で彼の言葉を親身に聞いていればこれから起こるアクシデントを防ぐことができたが今の彼女の言動を見ればそれが不可能であることは容易に想像できるだろう。
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