299 直りなさい!
クレハの元にやって来た迷惑な客たちを捕らえて数日ほどたったころだろうか、クレハは何とかして自分の元に迷惑な客を送りつけてきた黒幕に制裁を加えることが出来ないかを考えていた。
というのも例の集団のリーダーを自白させたときに聞いたのだが今回の騒ぎの一件はセルファム伯爵という人間がことの発端らしい。
当初、これを聞いたクレハは早速、セルファム伯爵から慰謝料を頂戴しようと考えていたがよくよく考えればクレハが受けた被害と言えば屋敷の目の前で騒がれただけだったのだ。
襲われそうになったと言えば間違いないがそれは例の集団の独断だと言われればそこからどうすることもできないし、審問院の件に関してもいわれのない罪で連れていかれたと言っても調査なのだから仕方がないと言われてしまえばそれまでなのだ。
つまり、クレハが行えることと言えば抗議文を送るくらいで完全にフラストレーションがたまってしまっているのだった。
そんな中、クレハはルークから全能薬に関して新たな情報を聞くことになるのだった。
「そう言えば、最近になって全能薬の新たな恐ろしい性質が分かったらしいんですよ。」
「恐ろしい性質ですか?なんです、それ。」
「なんでも、薬でおかしくなった人間だけでなく、その周囲にいる人間にも薬は影響するらしくて患者の近くに住んでいた人たちは寿命が短くなる可能性があるらしいです。」
「何ですかそれ、そんな馬鹿な事ありますか。」
流石のクレハもその情報には驚きを隠せなかった。というか、驚きを通り越して怒りまで覚えているほどである。なぜ、クレハがこの件に関して怒っているのか、それには明確な理由があった。
「それで、そんな馬鹿な情報を流したのはどこのどいつです!」
「聞いたところによると薬の患者を専門的に見ている治療院らしくて今回の性質も治療の過程で発覚したみたいですね。というか、そんなに馬鹿な情報ですか?
僕にはむしろ新しいことが分かっていいことだと思うんですけど。それに、安心してください、何と言ってもそれに対抗する薬は完成しているみたいですからね。どうやらかなり優秀な治療院みたいですよ!」
ルークは既に対抗策である治療薬が完成しているのはすごいとのほほんと治療院を絶賛しているがそれを聞いているクレハは少しだけ、ほんの少しだけ顔が固まってしまっている。
「ルーク、そこに直りなさい!お説教です!」
「えっ、ちょ、何でですか。僕なんかやっちゃいましたか?」
ルークはクレハになぜ怒られているのか全く理解できず困惑しているが彼女の無言の圧力に負け、体は自然と正座の形をとってしまうのであった。
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