298 欲望は止まることを知らない
「くそっ、忌々しい王妃め。あいつのせいで全能薬が大々的に国に規制されてしまったではないか!」
ここはセルファム伯爵邸、彼は王妃の邪魔をすることで全能薬の規制を少しでも遅らせようとしていたがついには国王の名のもとに規制が行われてしまった。
これによって薬の売れ行きは格段に落ちてしまい、彼の怒りはますます大きくなってしまう。
「それで、どういたしましょう。既にある程度は院内にも患者はいますが規制がされてしまった今、新たな患者を追加するのは難しいのではないでしょうか?」
「分かっている!薬は大々的には売れなくなってしまったから秘密裏のルートで小規模で売買するさ。そう言えば、以前に頼んでいた例の男爵の件はどうなっている?」
「はい、薬の本当の恐ろしさを知らないバカな者たちに男爵邸の前で抗議させています。もっとも、今回は仮に我々の関与が明らかになったとしても何も問題になることは行っていませんのでバレたとしても問題ありませんが。たかが男爵をつぶす程度でこちらがリスクを負う必要はないと判断しましたので。」
院長のその言葉に対処としては生ぬるいと感じた伯爵であったが結果的には薬は規制がかけられてしまい、クレハに対する妨害は意味をなさないものとなってしまったのでリスクを冒さない彼の判断は正しかったのではないかと考える。
「それは分かった。それで、そのバカな者たちは今はどうしているのだ?王によって大々的に規制が行われたのだ、まさか今もそのような事をやっているなんて馬鹿なことはないだろうな?」
「流石にそれはないかと、あまりこちらの存在が明るみになるのも面倒なので連絡は行っていませんが今頃は規制も始まりましたし、こちらに戻ってきているのではないですか?流石にあのような愚かな存在であっても王命を守らないなんて馬鹿な行いはしないでしょう。」
「そうか、それもそうだな。流石にガキではあるまいし、その程度の頭はあるだろう。」
二人は自分たちが派遣した人間たちが流石にそこまではバカではないだろうと考えているも現実はバカだったのである。彼らは現在、クレハに捕らえられ、保身の為か今回のクレハに対しする妨害がすべてセルファム伯爵によるものだとしゃべってしまっているのだ。
まさかそんなことにはなっていないだろうと考えている二人は暢気なもので次はどうすれば治療院に患者が多く集まるのかを話し始める。
「そうです伯爵、薬によって性格が豹変したものは周囲の人間にも影響を与える可能性があると発表されてはいかがですか?」
「む?それは一体どういうことだ?」
院長が突然何かをひらめいたように告げるもセルファム伯爵はそれがどういうことなのか良く理解できなかったため彼にその詳細を尋ねるとそれはとんでもない方法だったのだ。
しかし、その詳細を聞いた伯爵はニヤリと笑みを浮かべそれを実行するのであった。この行為が自分達に破滅をもたらす第一歩とは知らずに。
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