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287 治療院の実態

ここはとある貴族の屋敷の一室、そこには例の治療院の医師けん院長であるブタパとセルファム伯爵が悪い笑みを浮かべながら話し合いをしていた。


「院長、例の件は順調かね?」


「はい、もちろんでございます伯爵。くくっ、まったくバカな者たちには笑いが止まりませんよ。本当に全能薬の治療方法などが確立されているなどと思っているのですから。


そんなものなどあるわけがないのに、バカなものですよ。ふふふっ、退院したものが自身の経験を語って患者の家族を励ましている?そんなもの存在するはずもないのに、あれは患者の家族に治療院の実態を気づかせずに金を引き出し続けるだけのサクラだというのに、そんなことも知らずに哀れなものです。」


最近、急に人格が変わったように暴力的になる症状。この症状に対して効果的な治療法を確立したと治療院は発表していたがそれは真っ赤な嘘であった。


その実態は治療のための入院と偽っておきながら患者を監禁し、碌な食事も与えないような環境だったのだ。しかも、治療の邪魔になってしまうと家族との面会も一切禁止にし、その状況に気づかせずに治療のためだとひたすら金を引き出し続ける。


そうして、最後には何もかも吸い尽くしてしまえば治療に耐えられずに自殺してしまったと患者を処理して次の患者を迎え入れるのだ。


本来であればこう言ったことは嘘かもしれないと疑いを持つ者もいるのだが自身の家族がある日突然、人が変わったように暴力的になってしまったのだ。


治療法もなく、どうすればいいか分からないような状態で治療法があると言われ、実際に治療が成功したという人間もいれば盲目的に信じざるを得ないだろう。


「それにしても、まさか私の元に全能薬が入ってくるとはなんと幸運なことなのか、あれは上ものだから混ぜ物をしても何ら問題はないだろう。まだまだ売りさばけるものは残っているからな、あれが無くなるまではこの騒ぎの原因が薬のせいだとばれないように時間稼ぎをせねばならん。」


「おっしゃる通りでございます、それにしても薬を売る際にも、治療の際にも金をせしめるなど伯爵の頭脳には頭が上がりません。しかも治療と偽り骨の髄までしゃぶりつくすなど平凡な私には思いつきませんよ。」


今回の一件、伯爵は全能薬の継続的な入手が見込めないと考えるや否やまずは全能薬に小麦などの混ぜ物をしてその薬を売りさばき、そこで莫大な収入を得ようと考えていた。


しかしながらそれではいつかは全能薬が無くなってしまい、収入が見込めなくなってしまう。だからこそ、彼は考えたのだ、悪魔のような方法を。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。

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