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280 全能薬

クレハとの話が終わるとルークは街へとやってきていた。クレハのおひざ元であるこの場所はクレハ商会から商品を購入しようとするものなど様々な人間が様々な目的のために訪れており、周辺の街や国からやってきているものが数多くいたのだ。


そんな環境だからこそ、周辺の状況を知るにはぴったりだった。ルークはふと目についた商人らしき人物に聞き込みを始める。


「すみません、ちょっとお話を聞きたいんですけどいいですか?」


「おや、なんですかな?私が答えられることならばお答えしますよ。」


「ありがとうございます。実は、最近、どんな痛みでもたちどころに直してしまうすごい薬が出回っているって聞いたんですけど知りませんか?僕が聞いたところによればすごい気持ちよくもなれるらしいんですけど。」


痛みを直してしまうと聞き、悩まし気に自分の記憶を探っていた商人だが気持ちよくなると聞き、何かを思い出したようだった。


「あぁ、もしかしてそれって全能薬のことかな?確か吸えばたちどころに気持ちが良くなる薬で美容にも良いらしいよ。」


「全能薬ですか?僕が聞いたのは痛み止めなんですけど、美容にも効いたりするんですか?」


ルークは自分が聞いたことがある効能以外にも美容に良いと聞き、探している薬以外にも別の薬が存在しているのではと考えてしまう。


「あぁ、そうなんだよ。とにかくその薬は何でも困りごとを解決してくれるから全能薬っていうらしいぞ。怪我をした時の痛みも消してくれるし、太っている奴はそれを吸えばあっという間に痩せちまう。昨日まで見るに堪えないような容姿の奴も次の日には国一番の美人になっているっていう優れものだ。」


商人からありとあらゆる効果を持つ全能薬の話を聞き、そこまですごいものなのかとルークは驚きを隠せないでいた。しかしながら、それと共に本当にそんなものは存在しているのかという考えにも至ってしまう。


一つや二つ程度の効果であればその存在は否定しないがあまりにも効果が多ければ本当に実在しているのかも怪しくなしまうのだ。


「あの、そんなに効果がたくさんあるのはすごいんですけど、本当に実在しているものなんですか?なんだかそこまで効果が大きと嘘くさく感じてしまうんですけど。」


ルークがそのように薬の存在を怪しむと商人は一瞬、ポカンとした表情を浮かべるもすぐに大笑いを始める。


「くくくっ、あははっ。あぁ、突然笑ってしまって悪いね。いや、まるで少し前の自分を見ているようだったからね。実は僕も今の君みたいに最初は全く信じていなかったんだよ。でも、友人にその薬を使ったやつがいてね、歩けば地面が揺れるほど太ってたのに一週間も合わないうちにガリガリになって訳を聞いたら全能薬のおかげだって言うんだよ。


流石にあの時は驚いたな、だって人があそこまで短期間で痩せられるわけないからね。それで、全能薬はほんものだってその時初めて思ったんだよ。


その友人曰く王都に行けばかなり高価だけど手に入れることはできるみたいだよ。まぁ、私は今の自分に困ってないからそんな薬を買う必要はないけどね。」


商人はそうルークに話をするとそろそろ用事があるからと去っていくのであった。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。

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[一言] 麻薬にしか見えない件
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