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自分から追放された元貴族令嬢ですが許せないので見返します  作者: 創造執筆者
九章 リーシア教
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237 計画の始動

翌朝、大司教が休んでいる部屋のドアを強くノックする音が響き渡る。


「マグナ大司教様、大変です!」


「何ですか、朝から騒々しいですよ。我々は神に仕える身なのです、いつ何時であっても落ち着いていなければなりませんよ。」


「そ、それどころではありません。マ、マルシウス司教が神の元へと向かわれました。」


「な、なんと!マルシウス司教の身に何があったというのです。」


マグナ大司教は一体彼の身に何があったのかと驚きを隠せない表情でマルシウス司教の遺体の元へと向かう。先ほどまではいつ何時であっても落ち着かなければならないと言っていた言葉はまるで忘れてしまっているようだ。


「おぉ、何ということだ、君は優秀な司教であったというのに我らが神の元へといち早く向かってしまったのですね。いったいあなたの身に何があったというのです。はっ、いや、まさか!」


「ど、どうされたのです大司教様、何かお心当たりでもあるのですか?」


マルシウス司教の亡骸を確認したマグナ大司教は何かを思い出したような表情を浮かべると周囲の関係者が何か心当たりがあるのかと彼に尋ねる。


「はい、彼はコーカリアス王国にあるクレハ商会という商会に我々の神の教えを進めたいと言い、昨日、帰ってきたばかりなのです。なぜかは分かりませんが彼は体調が悪そうでしたし、私の問いにもあまり答えてくれませんでした。


まさか、あの商会は最近急に頭角を現してきたと噂されていましたが何か良からぬことをやっていたのではないでしょうか。そうであればマルシウス司教の昨日の行動にも説明が付きます。彼はそのクレハ商会に向かった際に何かされてしまったに違いありません。


だからこそ、心優しいマルシウス司教は私に被害が及ばないように自分で何とかしようとしていたんだと思います。ですが、それもクレハ商会の非道な行いにはかなわずに一足先に神の元へと旅立たれてしまったのです。


奴らは悪魔だ、我々の尊い教えを広めに行ったマルシウス司教を罵倒しただけではなく、彼を亡き者にしたのだ。彼の犠牲を無駄にしてはいけません、今すぐに世界中の信者の方達にクレハ商会の危険性を伝えなければならないのです。


これはマルシウス司教の意志でもあります。皆様、己の身を犠牲にしてまでこのことを私たちに伝えてくれた彼をたたえるとともにすぐにクレハ商会の危険性を広めましょう。」


マグナ大司教の見事な演説に涙を流すもの、クレハ商会の行いに怒りを隠せないものと彼らの反応は様々だった。だが、彼らに一貫して見られるのはクレハ商会を悪としてみていることだ。


こうして、マルシウス司教の亡骸を目撃した彼らはクレハ商会の危険性を信者たちに広めるために動き出すのだった。


そのため、マルシウス司教の亡骸に顔をうつむかせながら暗い表情を浮かべているマグナ大司教の頬が一瞬だけ緩んだのを目撃する人間は一人もいなかったのであった。


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― 新着の感想 ―
[一言] この教会とこの教会をけしかけた貴族は、皇族(主に第一皇女と皇帝)がクレハ商会に何とかして気に入られたいという事を知らないのだろうな。 クレハ商会を潰そうとしたら、絶対に第一皇女が黙っていない…
[一言] ん?怒らせただけで、なんにもしていないよね? というか、そんな事したら、王国からも、民からも見離されるんじゃないかな? 上手くいったと思った時程、大逆転されるんだから。 どうしてこうい…
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