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213 脅迫

「俺は天下のヘーデュ商会の商会長だぞ!あの商会のトップだ、これがどういうことか分かるか!」


クレハや船乗りたちにバカにされたことが逆鱗に触れたのか、クレハ達が座っているテーブルをおもいっきり叩き、自分の正体を話し始めたのだった。


しかし、そんな彼の正体を聞いても誰も彼を気にする様子はない。それもそうだ、なぜならばここにいるのはヘーデュ商会の恩恵など受けたことがない人間だからだ。


そんなクレハ達の雰囲気を感じ取った商会長は先ほどまでの怒りの形相から一変して静かになってしまう。


「そうか、お宅がそういうやり方で来るのならこちらにだってやり方ってものがある。お前たちは知らないかもしれないがこの国は貴族の特権が何よりも優先されるのだ。


大商会というものは何かと苦労が耐えなくてな、こういう時はほんの少し手間賃を渡して助けてもらうことが多いんだよ。特に、お前たちのような存在を何とかしたいときとかにもよく使う方法だ。


じゃぁな、次はもう会うことはないだろう、全くお前たちも自分たちの穴倉で過ごしていたのであれば問題が無かったが、わが商会に喧嘩を売ったのが間違いだったな。」


商会長はクレハに聞こえる程度の小さな声で囁く。直接的な発言はしていないが彼の言い方は明らかな脅迫だった。


暗に貴族の権力を使ってクレハ達をつぶすと言ってきているのだ。商会長もこのことは問題であるということは分かっているため、一般の客がいるこの場で大声を出し、騒ぎ立てることはしない。


流石にそれを聞いてしまったクレハ達は無視をすることが出来ないでいた。クレハ達は確かにコーカリアス王国では貴族かもしれない。しかしながらそれはコーカリアス王国内部の話であってこの国の人間からすればクレハ達はただの一般人なのだ。


「どういうつもりですか、自分たちの行いが原因であるのにそのように貴族の特権を利用するとは恥ずかしくないのですか!」


クレハは脅迫を行ってきた商会長に対して貴族の特権をそのようなことに使うなど恥ずかしくないのかと立ち上がり、怒りをぶつける。


「はぁ?しらんな、俺に逆らったお前たちが悪いんだ。じゃぁな!」


商会長は先ほどとは違い済ました表情で宿を立ち去ろうとする。この国で貴族の特権というものが最も重要視されるのであればクレハにできることなどない。最悪、この国から撤退すればどうにかなるとは考えているものの、やはり、このようなやり方で無理やり終わらせられるなんて気に入らなかった。


「おい!出てこい、部外者の商会が!」


そんな中、クレハが何もできないで歯がゆい思いをしている所にさらに事態をややこしくする声が響き渡るのであった。


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― 新着の感想 ―
[一言] あれ?これってさ、王国が後ろ盾になっている商会に対しての行為だよね? という事は、ここの国の貴族が王国に楯突いたって事になるよね? 王国がこの事実を知ったら、国際問題に発展するよね? …
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