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205 商会長、ご乱心

「おい、これは一体どういうことだ!なぜ客が商会に一人もいない。今日は休みなのか。」


「・・・。」


「おい、なんとか言わんか!」


常務が生産者たちに追い出され、数日が経った頃、常務は商会長に呼び出されていた。最近では、いつの間にか客足が遠のき、今では一人も客がいなくなるという状況になってしまったのだ。


これは商会長からすれば異常なことだ。彼自身、なぜこのようなことが起こっているのか分かっていないのだ。なぜ、事態がここまで悪い方向に進んでしまったのかと言えば、すべては常務の責任である。


彼が生産者に喧嘩を売り、事態の収拾がつかなくなっているころ、常務はしばらく待っていれば勝手に彼らが買い取ってくれと泣きついてくるだろうと勝手に考え、商会長に報告を行っていなかったのだ。


商会長も常務から何も報告を受けていなかったため、勝手に問題が解決していると思い込んでいた。この二人の行き違いが今の結果を生み出したのだ。


「あ、あいつらが売らないのが悪いんです!俺は言ったんだ、売らないともっと安く買いたたくぞって!そしたら、あいつら二度とうちには売らないって言い出したんです。だからそのうち泣きついてくると思い、帰ってきてそのまま数日が経ったんです。」


「は~ぁ~、お前はバカか!なぜそれを報告せん!」


商会長はドンドンと机をたたき、顔を赤くしながら常務に怒りをぶつけている。あまりの怒りように商会長のつばが常務に飛んでいき、常務は嫌そうな顔をしている。しかし、その顔がさらに商会長を不快にさせる。


「何だその顔は!どうするつもりだ、これでは売るものがないだろうが!どうやって利益を出すつもりだ、何でもいいから奴らから買い取ってこい!」


商会長はとにかく売るものが無ければどうすることもできないと、今までの値段よりも高くても良いから買ってこいと命令をする。


「は、はい。分かりました。」


「それと、別の大陸からやってきた商人というのを調べろ。そいつがいるからあいつらは付けあがって売らないとか言っているんだろ?ならそいつをつぶしてしまえ、なんなら、そこら辺のチンピラにでも金を渡せばどうにでもしてくれるだろう。


どうやっても良いから、とにかくそいつらをつぶせ。売り物が無ければうちは終わりだぞ。お前、分かっているだろうな。今回の件がうまくいかなかったらお前を一番に消してやる!」


「は、はい~。すぐになんとかいたします。」


常務は商会長の脅しに肩を震わせ、そそくさと部屋を出ていき、クレハ達をつぶそうと動き出したのだった。


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