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193 食中毒

「うっ、いたたっ。あっ、ちょっとトイレに行ってきます。」


クレハとルークが牡蠣を食したその夜、ルークはトイレに籠り切っていた。そう、初めて牡蠣を食べたルークは運が悪いことに当たってしまったのだ。


「ルーク、大丈夫ですか?辛いかもしれませんができるだけ水分は取って下さいね。」


「うっ~、どうしてこんな目に。はぁ、あの時、オーナーの言うことを聞いておけばよかったよ。」


人生初めての牡蠣を食べてそのおいしさからもう一度食べたいと今日の昼までは思っていたルークだったが、今ではクレハと同じ生の牡蠣を食べたことを後悔していた。


やっとのことでトイレから出てきたルークだったが、見るからにやせこけ、げっそりとしていた。そんなルークを見て、クレハは牡蠣を勧めたことを後悔していた。確かに、牡蠣の美味しさ知って欲しいと思っていたがこうなってしまうのであればそれは別だ。


「ごめんなさい、ルーク。私が牡蠣なんて進めなかったらこんなことにはならなかったんですけど。」


「何言っているんですか、オーナーは止めてくれたのに僕が無理やり食べたんですから僕の責任ですよ。オーナーのせいなんかじゃありません。」


ルークは今でも腹痛により苦しいはずなのにクレハに責任を感じて欲しくないと何ともないように振舞っている。しかし、その様子が痛々しく、余計にクレハは責任を感じてしまう。


「本当にごめんなさい、今日はゆっくり休んでください。医者から薬をもらってきましたから、これを飲んでください。」


こうして、この日は体調が優れなかったルークの看病をクレハは行うのだった。この時、牡蠣の苦しみの中、少しだけルークが喜んでいたのはルークだけの秘密である。




「オーナー、おはようございます!」


翌日、昨日の苦しみは何だったのかというくらい、ルークは元気になっていた。腹痛が治るのは良くても数日は必要かと思っていたクレハであったが、まさか翌日には治ってしまうとは思いもしなかった。


「えっと、もう大丈夫なんですか?数日は体調が悪いものだと思っていたのですが?」


「はい、オーナーが看病してくれたおかげで元気になりました!ありがとうございます。」


「それならよかったです、でも、今日は休んだほうが良いのではないですか?昨日あれだけ大変だったんですから、体もダメージを受けていると思いますよ。」


クレハは流石に昨日の今日では体にダメージがあるのではないかとルークをいたわるがルークにとってはそれ以上の問題があるようだった。


「いえ、それよりも昨日のお昼から何も食べていないからお腹がペコペコなんです!オーナー、何か珍しい食べ物を知りませんか?あっ、出来れば今度は危険がない食べ物が良いんですけど。」


ルークは恥ずかしそうにお腹が減ったとクレハに話す。昨日はその食欲で大変な目にあったばかりだというのにお腹が減ったと言っているルークがおかしくなり、クレハは笑い出してしまう。


「ふふっ、昨日酷い目にあったのにもうお腹がすいたんですか?まぁ、確かに何も食べていなかったからお腹がすきますよね。分かりました、昨日、おいしそうな食べ物を出している場所があったのでご馳走しますよ。安心してください、今度は絶対にお腹は痛くなりませんから。」


こうして、二人はもう一度美味しいものを求めて街へとくり出すのであった。


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