192 牡蠣
ルークは見た目が岩のように見える牡蠣という貝に興味津々だった。ルークが見てきた貝とは牡蠣の様にごつごつしたものではなく、つるつるとしているものだったからだ。
「それにしてもこの牡蠣って貝ですけど、岩みたいですね。僕が知っている貝とは全然違います。」
「あぁ、確かに良く知られている貝とは違うわな。でもな、これ、すごく美味しいんだぜ。」
店主の言葉にルークは目を輝かせていた。初めて見る食べ物にどんな味がするのだろうかとワクワクしていたのだ。そんなルークを見てクレハはルークに牡蠣の美味しさを知って欲しいと思ったのだ。
「じゃあ、とりあえず、牡蠣を二つ貰えますか?美味しそうに思うなら、一度食べてみればいいんです!」
「やった!僕、初めて食べますよ!」
「毎度!牡蠣は焼いて食べるかい?それとも生で行くかい?」
そんな店主の声に、先ほどまでは喜んでいたルークだったが固まってしまう。
「えっ?冗談ですよね?僕だって貝は生で食べたらだめだってことくらい知っていますよ。」
ルークには生で貝を食べることが理解できなかったのだ。なぜなら、昔から、貝は生で食べれば死んでしまうと聞かされていたからだ。しかしそんなルークにクレハは思わず笑みを浮かべてしまう。
「まぁ、確かに生で食べれば場合によってはお腹が痛くなってひどい目にあいますけど、生で食べる文化は確かにありますよ。あっ、私は生でお願いします。」
「えっ、そうなんですか?オーナーが生で食べるのなら僕もそうしようかな。あの、僕も生で食べます!」
クレハが生で食べるのならと今まで生で貝を食べた経験がないルークは自分も生で食べると店主に伝える。
「ルーク、確かに生で食べる文化はありますが、運が悪ければひどい目に合うこともあるんですよ。別に無理に食べなくても・・・。」
「いえ、僕も生で食べてみたいと思っていたんです。おじさん、お願いします。」
クレハはルークのことを心配していたが何を言ってもルークは生で食べると言い張っているのだ。別に、生で食べたからと言って100%当たるというわけではないのでクレハもこれ以上は止めなかった。
「へいおまち、生ガキだ!さっ、一気に食べてくれよ!」
こうして、二人は生の牡蠣を満喫するのであった。
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