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191 お上りさん

「陸が見えていたぞ!見ろ、陸だ!」


船員が大きな声を上げ、陸地の存在を全員に伝える。長い航海は順調に進み、クレハ達は新たな大陸へとたどり着いたのだ。


そんなクレハ達が見たのは何隻もの大型の船が停泊しているような非常に活気のある港だった。どうやら、ここはかなり栄えている港町のようだ。


「オーナー、あそこを見てください。市場みたいな場所がありますよ、見たことない食べ物がありそうですね。」


「本当ですね、これはぜひ、見て回らないといけませんね!行きますよ、ルーク!」


こうして、二人は早速、港町の様子を見に行くのであった。




港町の市場をクレハとルークの二人が見回っていると、ルークが見たことがないというようなものを発見した。


「オーナー、これなんでしょうね?石ころみたいですね、これって食べ物なんでしょうか?」


「ん?これはもしかして牡蠣ですかね?コーカリアス王国で見たことが無かったので存在していないと思っていたのですけど、あったんですね。」


「えっ?何か言いましたか?」


「あっ、いえ、こっちの話です。たぶん、これは牡蠣と呼ばれる貝だと思います。」


二人がそんな話をしていると、店の店主が話しかけてきた。


「おっ、よく知っているな。お嬢ちゃんたち、この大陸のもんじゃないだろ?それなのに牡蠣を知っているなんて思わなかったぜ。」


「あっ、やっぱりあってたんですね。それにしても、よく私達がこの大陸の人間じゃないってわかりましたね。」


「そりゃあそうさ、なんたって、さっきから二人ともいろんな場所を見回っていたじゃないか。あんなことをするのはここに来たばかりの人間だけだよ。」


店の店主からそう言われ、二人は急に恥ずかしくなる。さきほどから、見慣れないものばかりだったため、興奮していたが、今考えてみればお上りさんのようで恥ずかしい限りだった。


「そ、それはお騒がせしました。」


「すみません、初めて見たものばかりではしゃいじゃいました。」


二人とも、恥ずかしさからか、申し訳なさからか、なぜか店主に謝罪をしてしまうのであった。


「いや、別に謝らなくても良いぞ。誰だってあることだからな。さぁ、それよりも良かったら色々見て行ってくれよ。」


こうして、二人は店主の勧めもあり商品を見ていくことになったのだった。


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