174 戦争の準備
「はぁ、はぁ、はぁ。ようやく王国に到着しましたね。追手が居なくて良かったです。」
「そうですね。私達は無事でしたけど、ポティリ男爵たちは大丈夫でしょうか?」
第四皇子に襲われたクレハ達一行は無事、コーカリアス王国に到着していたのだ。幸いなことに、ポティリ男爵たちの活躍により、第四皇子はクレハ達に追っ手を伸ばすことが出来ず、簡単に国に帰ることが出来た。
「分かりません、僕たちが無事に国に帰れたのはポティリ男爵たちのおかげですし、無事だったらいいんですけど。王妃様が何とかしてくれるでしょうか?」
「そうですね、こういう時の王妃様はすごい優秀な方ですから、王妃様が皆さんを助けてくれることを祈りましょう。それにしても、あの皇子、本当にやってくれましたね。まさかいきなり襲ってくるなんて!」
クレハはポティリ男爵たちの心配をしているが次第に第四皇子の行いに対して怒りを感じてきたのだ。
「よくよく考えたら、どうして私たちが逃げないといけないんですか!あのアホがすべて悪いのに!」
「オ、オーナー、急にどうしたんですか?」
クレハが突然、怒りを示し、ルークは不思議に思う。普段の彼女であればここまで怒りを表すことはなかったからだ。
「だって、流石に怒りたくもなりますよ。せっかく、ケーキを世界中に広げようとしていたのに、あれのせいでやめざるを得ないですし。それに、せっかくみんなで頑張ってケーキを作ろうとしていたのに、それができないなんて私のこの気持ちはどこへもっていけばいいんですか!」
「そ、それはそうですけど、相手は帝国の皇子なんですからどうしようもないですよ。」
クレハはこの行き場のない怒りをどこに持っていけばよいのかと拳をプルプルと振るわしていた。そんな中、クレハは思いつく。いや、思いついたというよりも容赦がなくなったというほうが正しいのかもしれない。
「そうです!もう、容赦しません。こうなったら帝国に戦争を仕掛けてやります。」
「オ、オーナー!何言っているんですか!そんなのダメですよ。それに、どうやって一個人が国に対して戦争なんて起こすんですか!」
そんなクレハの突拍子もない発言にルークがすぐさま反論をする。ルークもまさかクレハが国に対して戦争を仕掛けるなど思ってもいないが少しだけ心配になる。
しかし、クレハだって武力による戦争を仕掛けるつもりなんてさらさらない。相手の得意な土俵で勝負するなど愚か者のすることなのだ。
「ルークが何を考えているのかは知りませんが、戦争にはいろいろあるということを教えてあげますよ。ふふふっ、帝国から国民を一人残らず消してあげますよ。」
こうしてクレハは一人、何かを企み、とあるものの開発にいそしむのであった。
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