163 突入と連行
現在、第四皇子の行いに対して怒りをあらわにしている二人は第四皇子がいると思われる城へと訪れていた。第一皇女の先導の元、第四皇子がいると思われる部屋に向かうと部屋の前には第四皇子の従者が待機していた。
そんな従者を気にすることもなく、二人は第四皇子の部屋に入ろうとするともちろん、従者に止められる。
「お、お待ちください第一皇女殿下。ここは第四皇子殿下のお部屋です。いくらあなたと言えど、許可もなしにお入れするわけにはいきません。」
「どきなさい。」
そんな従者に第一皇女はただ一言、それだけを告げる。もちろん、そんなやり取りを行っている中、第一皇女の後ろではテクネー王妃が無言で静かにたたずんでいる。
「で、ですから、いくら第一皇女殿下と言えども許可がないのであれば通すことが出来ません。一度、第四皇子殿下に確認をお取りいたしますので。ここでお待ちください。」
しかし、そんな護衛の言葉など彼女たちには関係ないのだ。
「別に許可など、とる必要はないわ。私が第四皇子にようがあると言っているの。邪魔をするのなら、この帝国にあなたの居場所は今日からなくなると思いなさい。」
そう言うと、二人は従者の返事も聞かずに第四皇子の部屋の扉を開ける。
「おい、いったい何の用だ。誰も通すなと言っておいたはずだろ。今はあいつらにさんざんな目に合わされたせいで誰にも会いたくない。」
どうやら、第四皇子は未だに誰が入ってきたのか理解していないようだ。ベッドに寝ころびながらこちらを見ようともせずに文句を言っている。
彼が今の状況に陥ったのは普段からこのような生活をしているということもあるが、今朝の一件でポティリ男爵たちに捕まった時に身も心も傷を負ったのだ。
「そんなことは関係ないわ、誰もお前の気持ちなんて気にしないから。さて、私と一緒に来てもらいましょうか。」
「えっ、な、なんで姉さんがこんなところにいるんだよ。それに、後ろの女は誰だ?」
「私のことは気にしなくていいクネ、これから死にゆく人間が私のことを知る必要はないクネ。」
「はっ?お前一体何を言っているんだ!私はこの国の第四皇子だぞ!無礼者が!ちょ、姉さん、いったい何をするんだよ。」
第四皇子が何か言っているようだが、もはやそんなことは気にする必要がない。彼のことなど気にする必要がないというように第一皇女とテクネー王妃はクビ根っこを掴み、第四皇子を引きずり部屋を出ていくのだった。
自身の主人が引きずられながら連れていかれるという予測不能の事態に部屋の前で待機していた従者は動きを止め、二人を追いかけていた第一皇女の護衛も彼女たちの行動に頭を抱えてしまう。
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