158 みんなの企みをぶち壊す男
本日は帝国万博最終日ということもあり、クレハ以外の出店を行っている人間もやる気に満ち溢れていた。
時刻は三日目の万博が始まる準備時間。お店の営業準備を行うためにルークとクレハは商品を並べていた。
「オーナー、今日はいよいよ最終日ですね!頑張って完売しましょうね。」
「そうですね、今日も完売すれば合計で4500個ものケーキが三日間で売れたことになりますから、そう考えると万博の効果はすごいのかもしれませんね。」
そんな風に二人だけの幸せともいえる時間を楽しんでいるとこの場所には見合わない人間からクレハは声をかけられることになる。
それは、クレハが最も声をかけられたくなかった人間と言ってもいいだろう。
「やぁ、クレハ、探したよ。どうして前回の宿では僕を追い出したんだい?あぁ、もしかして僕と話すのが照れ臭かったのかな?ダメだよ、そんなことでコミュニケーションをとれないでいたら僕の妻として今後やっていけないよ。」
クレハは彼の登場により、今まで上機嫌だったのが一変して死んだ顔をしている。なぜなら、そこにいたのは第四皇子だったからだ。
彼はなぜか分からないが数人の兵士を率いてクレハの元へとやってきていたのだ。
「何の御用でしょうか?万博の開催にはまだ時間があります。ケーキを食べたいなら時間内に来てください。準備の邪魔になります。」
「貴様!第四皇子殿下に向かってその口の利き方は何だ!今すぐにその口を効けなくしてやろうか!」
クレハの何気ない正論に第四皇子が率いてきた兵士の一人が怒りをあらわにする。彼からすれば、自身の仕えている第四皇子に向かって無礼な口を効いたのが許せなかったのだ。
しかし、そんな彼を第四皇子はなだめる。
「やめないか、みっともない。クレハ、そんな口の利き方は感心しないな。僕は皇族で君は何の身分もない平民なんだぞ。まぁいいさ、それも踏まえて僕の妻として相応しくなるように城で教育を行ってあげるよ。」
そう言うと、第四皇子はいきなりクレハの手を掴み連れて行こうとしたのだ。
「な、何をするんですか!やめてください、離してください!」
「お、おい!オーナーに何をするんだ!」
ルークはクレハが連れて行かれそうになるや否や、第四皇子の手を振り払いクレハを自らの後ろにかくまう。
まさか、第四皇子がこのような行動をとるとは思っていなかったクレハはしばらくの間、驚きで動くことが出来なかったのであった。
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