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157 第一皇女とテクネー王妃の企み

さて、昨日は二国間の王妃のいさかいがあったものの、初日と同様、売れ行きは好調だった。既に二日目ということで2000個ほど用意していたがそれでも勢いは衰えていないようだった。


「オ、オーナー流石にこれ以上数を増やすのは限界ですよ。どうやっても人手が足りません。それに材料だって限界があります。」


「そうね、まさかここまで反響が凄いなんて。一応、こんなことも予想して大目には持ってきたはずだけど、あとどれくらい残っているのかしら?」


クレハは材料の残りの数を心配しているのだ。どれだけ、従業員たちが頑張ってケーキを焼いても材料が無くなってしまえば意味がない。ケーキに使われる卵や麦粉などは帝国で簡単に手に入るため、気にはしていなかったが砂糖に関しては別だ。


これを用意できるのはクレハ達のみであるため、足りなくなったからと言って帝国で購入することはできない。


「えっと、だいたいケーキ1500個分くらいです。それ以上はどんなに頑張っても砂糖が足りません。」


「そうなのね、分かったわ。では明日は1500完売を目指しましょう!ルーク、厨房は結構体力を使うと思うけど大丈夫?」


クレハは心配そうにルークに尋ねるが当の本人はケロッとしている。


「任せてくださいよ!こんなの全然疲れたうちに入りません。明日も、僕に任せてください!」


こうして、二人は明日の最終日に向けてラストスパートをかけるのであった。しかし、この二人の決意が無駄になってしまうことを二人はまだ知らない。




ここは、ライスオット帝国の王城のある一室。第一皇女とクレハのケーキを食した護衛が話し合いをしていた。


「第一皇女殿下、やはり正攻法しかないのでは?あそこまで固い決意でしたら、からめ手を使うよりもそちらの方が良いかと。幸いなことに、彼女が嫌っているのはシルドラ家の人間だけです。


あの感じですと、おそらく話してみれば分かっていただけるような人柄ではないですか?」


「そうね、いくら帝国の貴族に嫌がらせを受けたと言っても話せばきっとわかってくれるわ。気になる点があるとすれば第四皇子と、もともと婚約していたのは彼女だったことよね。」


「それに関してはどうやら心配なさそうです。なぜかは分かりませんが、婚約破棄となった際に全く気にしていないようだったと聞いています。」


「それは朗報ね!第四皇子に嫌悪感を抱いていたら皇族というだけで取引ができない可能性があったけど、それなら安心だわ。明日は最終日よ、何としてでも明日中に交渉を成功させるわよ」


二人はクレハを説得するための兆しが見えたと、話し合いを弾ませるのであった。




さらに、ここはテクネー王妃のために用意された寝室である。


「私は何をやっているクネ!いくらあの場で恥ずかしかったからと言って普通、何もしないで帰るかクネ!


あの商会の技術は計り知れないクネ。何としてでも繋がりを持たせるために、明日こそはあの商会の代表と話し合いの場を設けなければならないクネ!確か名前はクレハと言ったクネか?」


こうして、奇しくも二国の王族がクレハの元へ向かう計画を立てているのだった。彼女たちの苦労は報われなくなるとも知らずに。


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