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153 井の中の蛙大海を知らず

「これを見てちょうだい、ここまで芸術的なガラス細工はこの世にないはずよ。こんなことが出来るのはコーカリアス王国の技術があってこそよ!」


現在、ナタリー王妃はポティリ男爵のガラス細工に関してテクネー王妃に説明を行っている。隣ではポティリ男爵もうなずきながらナタリー王妃の言うことがその通りだと言っている。よほど、彼女の持つ技術に自信があるのだろう。


クレハはガラス細工にはあまり詳しくない為、ポティリ男爵がそう言うのであれば彼女の技術はすごいものだと思っていた。しかしながら、テクネー王妃からすれば大したことがなかったようだ。


「何を訳の分からないことを言っているクネ?こんなの、私の国ではどこに行っても買えるクネ。」


「はぁ?何を言っているのかしら?ここまで素晴らしいガラス細工があるのであればあなたの国でも出店すればいいじゃない!出店していない段階で負け惜しみね!」


「まったく、これだからガラクタ大国はダメクネ!いいクネか、このガラス細工、少しだけ白みがかっているクネ。これは不純物が入っている証拠クネ、うちの優秀なガラス職人であれば完全に透明にすることが出来るクネ!


この程度の技術を万博で公開するのが恥ずかしかったから出店していないだけクネ。この程度の技術がうちの国の限界と思われると恥ずかしいクネ。まぁ、ガラクタ王国はこれで限界だから自信満々に出店したくなる気持ちも分からなくはないクネ。」


テクネー王妃のまさかの言い分にナタリー王妃もポティリ男爵も固まってしまう。そして、自身の持つ技術をさんざんバカにされたポティリ男爵は黙っていることが出来ない。


「おい、おい!いったいどういうつもりなんだよ!うちの技術が貧相だって!職人でもない唯の王妃に何が分かるって言うんだ。」


王族に対してそのような無礼を働くポティリ男爵に対してテクネー王妃は怒りもせず、呆れている。


「はぁ~、まったく。自身の技術を指摘されれば理由も聞かずに怒り出す、典型的なダメな職人クネ。そんなことをしているからガラクタ王国の技術はいつまで経っても成長しないクネ。」


ポティリ男爵も職人であるため、そのことに関して追及をされれば何も言い返すことが出来ない。彼女もそれくらいの問題点は分かっているのだ。しかし、今のコーカリアス王国の技術ではどうすることもできない。


ポティリ男爵が何も言い返さないのを確認したテクネー王妃はすでに話は終わったと、次の出店ブースへと向かうのであった。


ナタリー王妃も先ほどまではガラス細工のことをさんざん自慢していたが、結果的に自分の考えが足りていなかったことの証明になってしまい、恥ずかし気にしている。


彼女にとって不幸だったのは、テクネー王妃が技術面に関して豊富な知識を持ち合わせていたことだろう。本来であれば一国の王妃がそのような知識を持ち合わせているなど、なかなかあることではない。


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