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151 怪しいお客さんの正体

「我々の商会の名前はクレハ商会と申します。もしかすると帝国では知られていないかもしれませんがコーカリアス王国では少しだけ有名なのですよ。」


クレハは謙遜しているため、少しだけ有名だというがコーカリアス王国でクレハ商会を知らないものなど存在していないというくらい有名なのだ。


そんな商会であるならば他国の人間であっても知っている可能性は高い。


「へっ、へぇ~。そ、そ、そうなんですね。」


するとクレハから商会の名前を聞いた彼女はなぜか分からないが分かりやすく動揺を始める。後ろに控えている護衛の人間も頭を抱えてしまっていた。


「あ、あの、本当に大丈夫ですか?やっぱり体調が悪いのでは?」


「い、いえ私は大丈夫です。それでは失礼しますね。」


クレハが彼女のことを心配するもそそくさと立ち去ってしまう。クレハは彼女たちはいったい何だったのかと考えようとするもそのような余裕はなかった。


先ほど、二人がおいしそうにケーキを食べていたのを目撃していた他の人間がケーキのことを気にしており、どんどんクレハに対して注文を行っていたのだ。こうして、クレハ商会のケーキは飛ぶように売れて行くのだった。




場所は変わり王族だけが入ることを許された休憩スペース。ここには、この万博でクレハのケーキを初めて食べた二人組が休憩を行っていた。


その二人組は先ほど、クレハの元から立ち去ると真っ直ぐにここへとやってきたのだ。


「なんてことなのです!まさかあのようなおいしいスイーツを出している店がクレハ商会ですって!なんてことなの、帝国の人間には商品を売らないって言っていたわ。ほんと、何もかもあいつらのせいよ。」


「第一皇女様、落ち着いてください。」


彼女のあまりの取り乱しように護衛の人間は慌てて止めようとする。本来であれば彼女がそこまで取り乱すことなどありえないことだ。それくらい、先ほど食べたケーキが忘れられなかったのだ。


そう、彼女はこのライスオット帝国の第一皇女なのである。自身の国で開かれた万博であるため、護衛を連れ適当に歩いているとスイーツという言葉が聞こえたので寄ってみたのだ。その結果、あっという間にケーキの虜になってしまい今の状況に至ってしまった。


「これが落ち着いていられると思っているの!あの忌々しいシルドラ家のせいでまた、私はあの商会の商品を買うことが出来ないのよ。許せないわ!」


「何とか彼女を説得するしかないですよ。このままでは、彼女は一生、帝国の人間と取引を行わないと思われます。」


二人は何とかして、クレハを説得するための方法を考えるのであった。


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