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149 初めてのお客さん

こうして、ようやく帝国万博の幕は明けたのだ。クレハもルークと共に店の前を通りすぎていくお客さんたちに声をかけていく。


「いらっしゃいませ~、美味しいケーキはいかがですか~!甘くておいしいスイーツですよ!」


そんな中、クレハよりも少しだけ年上の女性がクレハ達のブースの前までやってくる。ここには商人や貴族、王族などが観客として出店ブースを回っているが恐らく彼女は貴族なのだろう。後ろには護衛が控えているうえに、彼女の立ち振る舞いは洗練されていた。生まれながらの貴族という感じだ。


「失礼、そのケーキというものは何なのでしょうか?先ほど、スイーツとおっしゃっていましたが。」


「はい、これはですね私共の商会で生産した全く新しいスイーツと呼べる代物なんですよ。本当に美味しいのでぜひ、お一つ召し上がって下さい。後ろの方もどうですか?」


すると彼女は嬉しそうにクレハからケーキを受け取る。彼女が受け取ったのを見ると護衛もクレハからケーキを一つ貰う。


「だい、んん。お嬢様、まずは私が味見を。」


護衛は何か別の呼び方で彼女を呼ぼうとしていたが気のせいだろう。先に護衛が食べようとすると彼女がストップをかける。


「そのような無粋な真似はするものではありませんよ。こういうのは早いうちに食べたほうがおいしいのです。頂きます!・・・ん~美味しいわ。なにこれ、口の中で心地よさが広がっていくわ!」


「あっ、お嬢様、困ります。はぁ、仕方ありません。それでは私も失礼して、・・・柔らかい。そして口の中でとろけていく。すごいです!これがスイーツなのですか?私の知るスイーツとは全く次元が違いますよ!」


二人ともケーキを食べた途端に幸せな表情をしていく。よほど、このケーキがおいしかったのだろう。瞬く間に無くなってしまう。


「ありがとうございます。喜んで頂いてよかったです。」


しかし、どうやら彼女には不満があるようで、あまりの美味しさにもう一つ食べたくなってしまったのだ。


「その、もう一つお代わりを頂くことはできないでしょうか?」


しかし、それはルール違反だ。これは万博なのだからできるだけ多くの人の目に触れるという前提がある以上、基本的には食べ物関係は一人一個とされている。


「申し訳ございませんが、おひとり様一個までとさせていただいているのです。」


「そ、そんな!何とかならないんですか?私、もうこのケーキが忘れられないんです!これなしでは生きていけません。」


突然、彼女はサラのように目をぎらつかせ始め、クレハに押しよってくる。


「お、お嬢さま、何をなさっているのですか!はしたないですよ。確かに、私だってもう一つ貰えるのであれば食べたいですけどルールはルールです!あなたが守らなくてどうするんですか?」


クレハにしがみついていた彼女は護衛によって引きはがされ、お叱りを受けていた。そんな彼女をクレハは苦笑いすることしかできなかった。


このお話が面白いと思われた方は高評価、ブックマーク登録をお願いいたします!


アルファポリスでは作者の他の作品を限定投稿していますので気になる方はそちらのチェックもお願いいたします!おススメは「殿下、私よりも妹を選ぶというのならそれで良いですが、もちろん呪いも一緒に引き取ってくれますよね」https://www.alphapolis.co.jp/novel/256005390/850535551


「婚約破棄をされてしまったので国を守る契約も当然破棄ですよね?」https://www.alphapolis.co.jp/novel/256005390/93532970


の二点です!ぜひ、覗いてみてください!よろしくお願いいたします!

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