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141 いまさら何をしに来たんですか?

いま、クレハ一行はライスオット帝国の帝都で行われる帝国万博に参加するために帝都への道のりを進んでいる。クレハにとっては久しぶりのライスオット帝国だ。


以前のシルドラ家に呼び出されたときのようにクレハ一人での移動ではない。今となってはクレハはコーカリアス王国の男爵なのだ。


コーカリアス王国の貴族の一員として恥ずかしくない馬車で護衛を雇い帝都に向かっている。もちろん、万博で出すためのケーキを作るには人手が足りない。そのため、ルークや商会の従業員たちも一緒だ。


「男爵様、今日は次の街で泊まりましょう。これ以上進めば泊まる宿が無くなってしまいます。」


護衛の1人がクレハに進言を行う。彼の態度からこのような旅には慣れていると感じ、素直に彼の提案を聞き入れる。


「そうですね、予定もゆとりを持たせていますので今日はここまでにしましょう。今の時期は各国から帝国に関係者が訪れていますから、宿が空いていない可能性もあります。街につき次第、宿を探してもらえますか?」


「かしこまりました、お任せください!」




護衛たちの仕事が良かったのだろう。街につくと無事、クレハ達は誰もかけることなく宿に泊まることができた。


「オーナー、久しぶりの移動で疲れましたね。」


「そうね、さすがに疲れてしまったわ。ご飯も食べたことだし、今日はもう休みましょう。」


二人は久しぶりの旅で疲れてしまったようだ。いつもより早めに寝る準備を始める。しかし、そんな二人に部屋をノックする音が聞こえてしまう。


「男爵様、男爵様にお会いしたいという方がいらしているのですが、どういたしましょう?」


流石のタイミングにクレハも嫌な顔を浮かべてしまう。そのため、今日は諦めてもらい明日話すことにしたのだ。


「悪いけど、明日にしてもらえますか?さすがに今日はもう疲れたので。」


クレハ断ろうとするものの、護衛たちの制止を聞くこともなく、その人物はクレハの部屋へと押し入ってくる。


「やぁ、クレハ!久しぶりだね、元気にしてたかい?」


護衛の制止を無視し、部屋に押し入ってきたのはクレハの良く知っている人物だった。それはかつて、クレハがまだ、ライスオット帝国の貴族であったころであり、シルドラ家からわざと追放されるために近づいた第四皇子であった。


確かに、初めは家から追放されるために彼に近づいたので、負い目もあり精一杯彼の婚約者を務めていた。そこから彼の気持ちがサンドラに向くのは当初の予定通りだったため、問題はなかった。


しかし、問題なのはここからだった。第四皇子とサンドラの二人は事あるごとにサラの目の前に現れ、いかにクレハが劣っており相応しくない人間かと長話を聞かされていた。


初めは仕方がないとクレハも我慢していた。しかし、四六時中クレハに付きまとい自慢話をし続ける第四皇子に嫌気がさしていたのだ。しまいには、サンドラに何かを吹き込まれたのか、あることないことを公の場で騒ぎ立て、クレハを糾弾するに至っていた。


そう、第四皇子の正体とは自分で考えて行動することができない愚かで馬鹿な人間だったのだ。


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