136 リバウンド防止作戦が始動しました
クレハとルークの二人は以前の王妃との約束を果たすために王城を訪れていた。兵士に案内され王妃の部屋に入ると予想通り王妃とサラが待っていた。本日はプリンの件もあるためサラがいなければそれでいいと思っていた二人だが、サラは王妃のメイドなのだ。二人の甘い幻想は打ち砕かれることとなる。
「ルーク、仕方ありません。例の作戦で行きますよ!」
「分かっています、僕に任せてください。ですが僕が時間を稼ぐにも限界はあります。手短に済ませてくださいよ。」
「分かっています、それでは健闘を祈ります!」
二人は小声であらかじめ決めていた作戦を実行する打ち合わせをする。
「クレハ、どうかしたの?」
いつまで経ってもルークと見つめ合っているクレハを不思議に思い、王妃は声をかける。
「い、いえ、問題ありません。本日はお話したいことがあってまいりました。そうだ、サラさん!実はルークが竜田揚げに関して新しい食べ方を思いついたんです。サラさんのやっているお店でぜひ実践してみたいというので案内してもらえませんか?」
「なんと!それは今すぐにお店に行かないといけませんね!王妃様など置いといて今すぐに行きましょう。」
「サラ!竜田揚げと私どっちが大事なのですか!」
サラは王妃の質問など気にも留めず、ルークの手を取り真っ先にお店に向かってしまった。サラの行動は残念であるがここまではルークとクレハの作戦通りである。
「まぁ、私と竜田揚げなら間違いなく竜田揚げよね。はぁ~。」
すでに定番となったサラの行動だが、それでも王妃は自身のメイドということもあり頭を抱えている。
「王妃様、サラさんは特殊なので気にしたら負けですよ。元気出してください、それに王妃様にはとっておきの話を持ってきましたよ。」
クレハは今回、王妃の元を訪れた理由を話す。もちろん、先ほどのルークの話がサラを遠ざける作戦であることもだ。
「ふふっ、ふふふっ。とうとうサラに損な役回りが回ってきましたね!ついに、ついにサラに邪魔されず私だけが美味しいものを食べられます。これこそが本来の王妃のあるべき姿ですよ!」
王妃は突然高笑いをはじめ今まで溜まっていた気持ちを吐き出す。いくら王妃と言えどもいつも、いつも、サラにおいしいものを取られてしまい憤りが溜まっていたのだ。それが美味しいプリンをサラだけが食べられず自分のみが食べられる。
それが王妃にとってはとてもうれしく、スッキリしたのだろう。クレハもまさか王妃がここまで内なる感情を隠していたとは思わず、動揺を隠せないでいた。
「あ、あの、王妃様?大丈夫ですか?」
「ええ、もちろん大丈夫ですよ!さぁ、クレハ、サラが帰ってこないうちにプリンを食べさせてください!今日こそは絶対にサラに邪魔されずあなたの料理を楽しみますよ!」
王妃はクレハに掴みかかり鼻息を荒くしてプリンを要求する。クレハもこれ以上待たせるとまずいと本能的に感じたのだろう。すぐさま用意するために城の厨房へと向かうのであった。
「わ、分かりました。すぐに調理を開始します、しばらくお待ちください。」
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