134 スイーツ大明神は再度降臨する
現在、クレハとルークは大量に生産可能となった砂糖の活用方法を考え調理場にいた。二人とも甘いものは好きなため初めはスイーツを作るために使用するという意見は一致していたのだ。しかし、ルークは知らないのだ、砂糖が高級なこの世界ではスイーツのレシピの種類などたかが知れているということを。
「オーナー、やっぱりスイーツと言えばクッキーですよね!サクサクの美味しいクッキーが食べ放題ですよ。」
ルークはクッキーの海に溺れている自分を想像しているのだろう。幸せそうな顔をし、よだれを垂らしている。そんなルークを微笑ましく思うも真のスイーツを理解していないとニヤニヤ笑みを浮かべる。
砂糖が貴重なこの世界とクレハの前世ではスイーツの定義が異なるのだ。こちらでは一般的な焼き菓子のことをスイーツと言い、クレハの元居たスイーツの意味をなす食べ物は存在していなかった。そこで、クレハはこの際に本当のスイーツを広げようと考えていた。
「ルーク、クッキーはスイーツと呼びません!クッキーは焼き菓子です。」
クレハはルークに勢いよくつかみかかる。その必死さにルークは驚いてしまうほどだ。
「えっと、クッキーがスイーツでないというのであればどういったものがスイーツというのですか?」
ルークは恐る恐るクレハに尋ねるとドヤ顔でクレハは答える。
「ふふん、良いでしょう!私が真のスイーツというものをルークに味合わせてあげます。サラさんみたいになっても知りませんからね、覚悟してくださいよ」
食べ物に対するサラの異常さを知っているからこそ、ルークはそんな訳はないと笑っている。
「オーナーもおかしなことを言いますね、僕がいくらスイーツを好きだと言ってもサラさんみたいになる訳ないじゃないですか。あの人は特殊な人ですよ、僕は一般人です!」
「はは~ぁ、オーナーこそがスイーツ大明神様です。僕は何と愚かだったのでしょうか、クッキーはスイーツではありません!」
そこにはサラと同様にクレハにひれ伏しているルークがいた。サラがこの体勢をとっていた時にはルークはいなかったはずだが文言と姿が見事にシンクロしていた。
あまりの感動に涙すら流しているほどだが、ルークがこうなってしまったのには訳がある。時間はクレハがスイーツを作り始めた時にさかのぼる。
「それでは、私が食べたくなったプリンでも披露しましょうか、最終ゴールはスイーツの頂点ともいえるケーキです!」
「プリン?ケーキ?何ですかそれ?」
ルークはどちらも全く想像がついていないようで首をかしげていた。
「まぁ、話しても表現しづらいものですからね。実物を用意して説明しますから、ケーキは今度作りますね。
まずは砂糖と水を火にかけ茶色くなるまで煮詰めます、これがカラメルですね。それから、牛乳、砂糖、卵を混ぜ布でこします。あとはこの液を深皿に入れて蒸します!」
クレハは久しぶりにスイーツを食べることができるとプリンが固まる間はワクワク、そわそわしていた。
「オーナー、このカラメルというものは砂糖を焦がしたんですか?いくら砂糖を作れるようになったからってもったいないですよ。」
「ルーク、これは調理法の一つなのですよ。こうすることによって砂糖の単純な甘みだけでなく、複雑な甘みを表現することができるんです。」
「へ~っ、そんな効果があるんですね。」
ルークはクレハの言うことをイマイチ理解していなかったようで反応が薄い。
「さっ、蒸し終わりましたよ。あとはこれにカラメルをかけて出来上がりです!ルーク、食べてみてください。」
「頂きます。・・・!何ですかこれ、口の中でとろけます!それに甘くて、どんどん進みます。はっ、オーナーいつの間にか僕の分が無くなっています。どこへ行っちゃったんですか?」
「何を言っているんですか、あなたが全部食べちゃったんじゃないですか。」
「そ、そんな。食べた記憶がないです!これはヤバいですよ、悪魔の食べ物です、美味しすぎます!オーナーはスイーツの神だったんですね、はは~っ。」
ルークはあまりの美味しさにクレハにひれ伏すのであった。
「あっ、お代わりください!」
「あなた、ちゃっかりしているわね。でも、いくらでもお代わりしてください。」
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