131 スイーツ大明神様
クレハがおもわずルークに抱き着いてしまったのには訳があった。
「ほ、ほんとなのね!ありがとう、ルーク。これでスイーツがいっぱい作れるわ!やった!」
「お、お、オーナー、ちょっと近いですよ。王妃様の目の前で不味いですよ。」
ルークはクレハを引き離そうとしているものの、その顔を見れば嫌がっているわけではなく、むしろ嬉しがっている。恥ずかしさからクレハを引き離そうとしているのはバレバレであった。
「あら、あら、私と陛下の若い時にそっくりにね。若いっていいわね~。」
王妃は温かい目でニヤニヤと二人を眺めている。
「スイーツ!スイーツと言いましたか!まさか、クレハ様はスイーツ大明神様を際限なく創造することが可能なのですか!あなたは創造神であらせられたか。」
いつの間にか床から抜け出していたのだろう。気づけば今度はクレハのことを崇め、奉っているサラが目の前で土下座していた。
「何でそうなるんですか、というかサラさんの安い土下座とか需要がないのでいらないです。そこらへんに捨てておいて下さい。」
クレハもサラの扱い方を分かってきたようで扱いがぞんざいになっていた。先ほど喜んでルークに抱き着いていた時とうって変わって冷めた目でサラのことを見下ろしていた。
「クレハ、それは置いておいて、スイーツをたくさん作れるっていうのはどういうことなの?良かったら教えてほしいのだけれど。」
クレハはしばらく考えた後で王妃の問いに答える。
「申し訳ございません。今回のことは今は、王妃様でもお答えすることはできません。ご容赦ください。しかしながら、今回の事業の準備が整えば必ず王妃様に真っ先に報告させていただきます。その時は絶対に王妃様を驚かせて差し上げますので、どうかしばらくお待ちください。」
クレハが頭を下げて王妃に頼み込むと彼女はあっさりと引き下がる。
「クレハがそこまで言うのであれば仕方ありませんね。今回は引きましょう。その代わり、びっくりするような報告を期待していますよ。それでは、あなたにもやることが見つかったみたいなので私たちもそろそろ城に帰りましょう。それじゃあね、次は報告を聞かせてもらうときにね。」
「ありがとうございます。必ずや王妃様の度肝を抜くような報告をさせていただきます。」
クレハは自信満々に王妃に宣言するがそれに待ったをかけるのはサラであった。
「ちょっと待ってください。スイーツがたくさんって言いましたよね。クレハ様、どうか私にスイーツをお恵みください。あっ、王妃様、何をなさるのですか。」
「何をなさるのはあなたよ、クレハは今は聞かないでって言ったんだからまた今度にするわよ。クレハにはこれからやらないといけないことがあるのだから私たちは帰るのよ。」
バタバタと騒いでいるサラの襟をもって引きずりながら王妃は退出していく。これではどちらが主でどちらが従者か分かったものではない。クレハとルークの二人も苦笑いをしつつサラの抵抗する姿を眺めているのだった。
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