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【書籍化決定】妻ではなく他人ですわ  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!


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159.婚約式まであと二か月

 なんだかんだ、お父様と叔父様は仲がいい。いつも冷たい振りで引き剥がす叔父様も、お父様がしおらしい態度を見せれば譲歩するわ。私達の仲の良さとは違うけれど、これもまた一つの家族の形でしょうね。


「それで、お父様はお役目を果たしてこられたの?」


「もちろんだ。フリッツの所為で怒られたが」


 むすっとしながら付け足された情報に、くすくすと笑いが漏れる。また揶揄われたみたい。叔父様とは違う距離で、じぃもお父様が好きなのよ。悪友という表現がぴったりだった。悪ガキと言い換えても似合う。


「婚約式を早める手はずを整えました。ガブリエラ様が尽力してくださいましたの」


 元から決まっていたエック兄様とコルネリアの準備が、一番早かった。続いてルヴィ兄様とマルグリット、さらに私とクラウスね。この順番は準備を始めた時期と、周囲の盛り上がりの差かしら。コルネリアはかなり前からドレスを注文していて、布や装飾品を押さえていたの。


 ルヴィ兄様の婚約は、国を挙げての一大事業よ。皇帝陛下の婚約式に恥をかかせられない。準備が間に合わないなんて、口が裂けても言えなかった。


 マルグリットのドレスは、すぐに決まったわ。彼女、意外と好みをはっきりと口にする人よ。カタログを開いて数分で、形とレースやビーズの位置を決めたと聞いた。装飾品はガブリエラ様から受け継ぐティアラに合わせるから、悩む余地がない。


 三番目の私達の支度も、クラウスが素晴らしい手配をした。事前に呼び寄せた領地の針子を総動員すると知って、驚いたもの。いつから準備していたのかしら? こちらに戻ってすぐ、必要なドレスを作らせた。そのため、最新のサイズは手に入ったでしょうけれど……。


 一番最後にお相手が決まったフォルト兄様は、アデリナの民族衣装が気に入ったみたい。形や生地を取り入れて、作らせているの。間に合えばいいけれど……と心配してたら、変わった織り方をするイエンチュの絹が大量に届いた。


 ガブリエラ様の指示ではなく、アデリナのお父様の手配らしい。適齢期になった娘が結婚する時のため、イエンチュの親は生地や装飾品を集める。事前に用意した絹は大量で、せっかくだから残った布でお揃いのベルトを作らせることにした。


 ベルトなら間に合うでしょうし、ずっと使えるわ。それに、家族になった証としてお揃いの品を持つのも素敵だと思ったの。ガブリエラ様とお父様、叔父様の分も用意する予定よ。と言っても、婚約式の祭壇に立つ叔父様がつけられるか、不明だけれど。


 神殿のしきたりも、細かい部分は私も把握していなかった。叔父様のことだから、上手に取り入れてくれそう。


 それぞれの皇族色を取り入れるため、色が被る心配も不要だった。皇妃のティアラ以外の宝飾品は新調するので、宝石や貴金属も大急ぎで加工しているはず。


 料理の手配はエック兄様、会場の警備はフォルト兄様、装飾や儀式の準備は私とガブリエラ様で確認したわ。ルヴィ兄様が来賓の招待を担当して……お父様達が大掃除を終わらせた。何も忘れていることはないわよね?


 お見舞いから戻り、まず娘の顔を見に行く。よく眠っているわ。


 ジルヴィアのドレスも準備したの。まだ歩けないから、ベビーべッドでの参加になる。それでも家族がお留守番は寂しいわ。専用の控え室! まだ手配していないものがあったわ! 思い出せてよかったと胸を撫で下ろし、娘の銀髪を撫でる。


 生まれてすぐは髪が薄くて、色が淡いと生えてくるか心配になるほど地肌が見えるの。私の時も同じだったのかしらね。ふふっと笑い、眠るジルヴィアを見守る。婚約式まであと二か月ほど。待ち遠しさを堪え、夜空へ目を向けた。


 そろそろ休まないと、朝から忙しくなるわ。可愛い娘の頬にキスを落とし、乳母アンナに預けて部屋を出た。

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