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小さな一歩

亀の如き更新速ですみません。

自分がログインしていなかった間に、前作『エヴォルダー』が七月末ごろにランキングに入ったようでとても嬉しいです。

読んでみてくださった方々、本当にありがとうございました。

「ありがとう。それじゃ、今日はもう遅いしここで切り上げよう。炎さんも泊まってく?」

「お言葉に甘えようかな。だけどいいのかい?」

「もうここまで腹を割って話してんだからいいでしょ……電話の時だけ席を外してもらえれば。風呂も自由に使ってどうぞ」

「助かるよ。あ、覗きたければ覗いてもらっても構わないよ?」

「あの、俺は流石にもう眠いんで……ちょっと構う余裕ないっす」

「では、すぐにお布団を敷かせてもらいます。あと姉様、表に出なさい」


 千代が立ち上がり、布団をしく準備を始めると同時に炎を睨む。

 ぴえぇ、と涙目になる炎をよそに龍臥はすぐに用意してもらった布団の中にダイブし、すぐに意識を手放した。



 翌日、午前十時を回った頃に龍臥は目を覚ます。

 寝た時間が遅かったのもあるが、二人に過去の話をしたことで思った以上に心身に負担がかかったのかもしれないなと考えたところでパチン、と頬を思い切り叩いて目を覚ます。


(いい匂いもするし、千代さんがご飯を作ってくれてるんだな)

「おはよう、千代さん」

「おはようございます主人様! 朝食の準備はできています」

「やぁ、遅い目覚めだね鳳くん。先に馳走になっているよ」


 もぐもぐと美味しそうに朝食を食べている炎。

 完全に馴染んでいる様子を見て、忍者とはたくましいんだなと感心するところがある。


「本日は味噌汁と納豆、卵焼きにほうれん草のおひたしです」

「ありがとう。いただきます」


 手を合わせてしっかりと挨拶をして口に運ぶ。

 千代が来たことにより生活水準がしっかりと上昇しており、龍臥のコンディションに影響するまでになった。

 朝食をしっかりと堪能し、温かいお茶を飲んで一息ついてからスマフォを取り出した。


「……千代さん」

「はい、お側におります」

「空いている手、握っていてくれ」

「かしこまりました」


 空いている左手を千代の両手が優しく包む。

 柔らかく、優しい感触。

 龍臥の緊張はだいぶほぐれ、祖父の番号に電話をスピーカーモードでかけた。

 数コールほど鳴ったところで、繋がった音がして声が漏れた。


『もしもし。珍しな、お前からかけてくるなんて』


 スピーカーから聞こえた声は、落ち着いた様子の男性の声だった。


「じいちゃん久しぶり。突然電話してごめんな。今大丈夫だったかな?」

『ああ、かまわんよ。可愛い孫からの電話なんだ、遠慮などするな』

「ありがとう。実はどうしても今回、聞かなきゃならないことがあるんだ」

『……いいだろう。言ってみなさい』

「実は俺の父さんのことなんだけど……」


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