令和妖怪コンプライアンス
[前回の話]
コンプライアンスが怖い
[今回の話]
コンプライアンスって何?
こんなタイトルですけど、実際コンプライアンスというものは、その実体が抽象的で、そのくせ影響力だけは具体的。曖昧な基準で目的となる者を徹底的に叩き潰す。酷いときには被害者への配慮という建前で理由さえも知らされずになんてことも。
これを恐怖の妖怪といわずにいられようか。
さて、そんなコンプライアンスとはいったい何なのでしょうか。
英語表記で『compliance』、意味合いは法令遵守。
まあ、そんなのは今さら言うまでもなく周知のことですが。
ということで、これよりは私独自の解釈。但し多分に偏見と皮肉を含んでいますので注意。
語源を調べてみたところ、これは『comply』(従う、応じる)という動詞からきており、ラテン語の『complere』(満たす)に由来するとのこと。
同じ語源の言葉に『complete』『compile』『complement』『compliment』等があり、それぞれ完成、編集、補完、賛辞という意味があるそうです。なお『complex』(劣等感、複雑さ)なんていうのもありますが、これは類似するcomplecti(包括)が語源なので意味通り少し微妙な扱いです。
これらに共通するのは完璧さの影響。『complete(完成)』『complement(補完)』はいうまでもなく『compliment(賛辞)』も完璧なものを讃えること。『compile(編集)』もやはり完璧さが求められますし、『complex(劣等感)』は完璧なものに抱くものですしね。そして『compliance』は……。
ここまで肯定的に捉えてきましたが、今度は私流のひねくれた解釈。
これらの言葉の接頭辞『com-』ですが、これには『一緒に』『強く』と意味合いがあります。要するに合体強化ってところでしょうか?(笑)
ですが混ぜ合わせることは好いことばかりというわけでなく……。
『complete(完成)』『complement(補完)』はアピールされると鼻につき、『compliment(賛辞)』は露骨だと嫌悪感が、『compile(編集)』はやたらと美化されるものですし『complex(劣等感)』は他者との比較により生まれるもの。そして『compliance』は……。
『comply』を『com-』と『ply』に分解すると『ply』は『plicare』つまり『plie』(折る)となるのですが、そうなると『comply』の解釈は『強く折る』『完璧にへし折る』となるわけで、ならば『compliance』も完全に力尽くで従わせるとなり、阿諛追従といえるわけで、なるほどこうなると法令遵守も皮肉に感じてくるというもの。
『compliance』の元義は私には不明ですが、できれば『com-pliance』という共存を図る目的であってほしいものです。




