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詠んでみた その15

[前回の話]

 私的な思考

[今回の話]

 詩的な思考

 久しぶりに詠んでみた。

 ただ、あまりに久しぶりなので本当に15回目であるかは自信ありません。

 まあ、それはともかくとして、そろそろ始めさせていただきます。



 秋に()き 雪の浮遊する冬を待つ

 春は遥かで 夏の懐かし


 まずは単なる駄洒落遊びです。

 本当は厳しい冬や、激しい夏は苦手。

 秋の成熟は喜ばしいですがやはり寂しく。

 そんなわけで穏やかで希望の溢れる春が好きだったりします。(笑)



 秋深し されど近年秋不可視

 冬に至りて 漸く少し


 最近秋の間隔がずれてきていて感覚が狂ってきています。

 まるで初冬の今が秋のよう……。



 街灯が照らす粉雪 光る風

 愛はいずこに 悠久の刻


 某アニメ映画のテーマ曲イメージですが、実はその曲の歌詞の光る風はそういう戦闘シーンの火力イメージではないようです。先入観に騙された……。(笑)



 寒いのに 森のくまさん 町中に

 腹が減っては 冬眠ならず


 進む人間の森林開拓。

 野生の世界も世知辛い……。



 街照らす 冬の明かりは 火災なり……

 火の元用心 笑いもできず


 12月って火災が多い時期らしいですね。今日もニュースで取り挙げられていました。

 明日は我が身とならないように一層の注意を心掛けたいところです。



 12月 何かと忙し 重荷月

 早めに済ませ 後はすっきり


 論理的な解決法と解ってはいても、理想に過ぎないという皮肉。

 性格なんでしょうかね……。



 黄昏と灯りの揺れる窓の戸に

 冬の北風は何を思わん


 サーカスの風のメルヘンという曲の歌詞からのイメージです。

 横恋慕はともかく、誰かの幸せは祈りたいものです。もちろん自分の幸せもですけど。

 因みに、この曲の歌詞は万葉集の「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」という額田王の歌がモデルという話も。さすがはまんが日本史のテーマ曲。



 秋は行き 冬の来たりて師は走る

 実りの後は内省の時


 年の瀬は忙しいものですが、それも秋の収穫があってこそ。そしてそれもそれまでの努力の成果。偶には一年を振り返ることも大切ですよね。



 白銀の世界を想う幼さよ

 されど現実は猫の如くに


 純粋な好奇心で雪に憧れる幼少の時期。されど物心つくと寒さという現実を知ってしまう。そして年を経れば再び幻想に癒しを求めるようになり……。

 大人と子どもの感性のギャップ。子どもは大人が思うほど幼くなく……。

 なんとも皮肉な話です。



 マッチ売り 寒さに負けて火を点す

 世間の風は雪にも勝り


 マッチ売りの少女の有名なシーン。

 作者のアンデルセンによる社会風刺ですが、それで成功を収めた彼は何?

 不幸を売り物にする強かさ。ですが物語の主役たちは……。

 まさかアンデルセンとはアンダーソン、下層の子どもという皮肉なのか……。

 まあ、彼が優秀なメッセンジャーであったことだけは確かです。

(※注 アンデルセンとはアンダース[Anders]の子という意味で、勇敢なる者の息子という意味の姓であり、キリストの十二弟子のひとりアンデレの一族の者、もしくはその意志を継ぐ者という意味合いもあるらしいです。というわけでunderな子どもというペンネーム説は発音に因んだ私の冗談です。まあ、強かなことには変わりありませんが)



 冬景色 雪はなくとも冬景色

 黒き世界を真白に染める


 何かと(しがらみ)の煩わしい世の中ですが、それでも冬の楽しいイベントはそれらのつらい現実を忘れさせる。

 暗い世の中を覆い隠しクリアにしてくれるクリーンなる冬の景色を、雪のない雪景色のようと喩えるのは無理やりっぽいでしょうか?(笑)



 柊の尖る葉 雪に凍りつき

 枝には白き別の花咲く


 最後は綺麗に締めてみました。

 柊と樹氷のふたつの花、そして雪の中から顔を出す隠れた緑の葉。自然による不自然な造形美術、そんな自然さも面白いです。

 まあ、よほどの寒冷地でない限りお目にかかることはできませんが。(笑)

 やはり私の性格でしょうか、やたら黒い作品が多いようです。

 まあ、そこは冬という季節が五行思想では黒であることに因んでということで……って、意識したわけではなくただの偶然に乗っかった言い訳なのですが。(苦笑)

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― 新着の感想 ―
ひとつめの、『秋に厭き 雪の浮遊する冬を待つ 春は遥かで 夏の懐かし』という歌は、とても面白いですね!日本語を巧みに使っているところが、素敵だと感じました。私も、そんなふうに日本語の良さを活かした歌を…
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