新たな任務
「おせぇーぞ」
五奇がEチームの待機室に着くなり、鬼神に小言を言われてしまった。それを等依がたしなめた。
「まぁまぁー五分前には来たんスから~」
「十分前に着くのが基本だろーが! リーダーならちゃんとしろや!」
食ってかかる鬼神に、五奇も返す言葉がなくどうしたものかと思っていると、空飛が口を開いた。
「あの……それだと毎回ギリギリな僕は、一体どうなるのでございましょうか?」
「……てめぇはもう、そーゆうもんだろ? んで? 遅れた理由はなんだよ?」
「っ! そ、れは……。その……親の見舞いだよ。ま、まぁ、今度から気を付けるからさ! 鬼神さん!」
少し言葉に詰まりながらもそう答えれば、さすがの鬼神も何かを察したらしく、追及することをやめた。
「ところで、教官おそいでございますね?」
空飛が話題を変えると、五奇達は軽い雑談を始めた。
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齋藤が室内に入り四人を確認すると、今回の召集内容について話し出した。
「今回の任務内容を説明する! "名もなき妖魔"どもの掃討である!」
その言葉に、鬼神が舌打ちをする。
「チッ。雑魚かよ……」
そんな彼女に対し、齋藤が鋭い視線をやる。
「雑魚と思って抜かるなよ? その数は膨大!」
「ぼ、膨大でございますか!?」
空飛が困惑したように言うのと同時に、等依が訊く。
「……場所はどこっスか?」
「山岳地帯の洞窟内だ。地図と車の手配は済んでいる! では出動せよ!」
いつも通りの齋藤の圧に、五奇達は各々声をあげる。
四人の返事に齋藤が満足げに頷くと、等依に車のカギを渡した。
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駐車場に着くと等依が運転席に座りながら、五奇に声をかける。
「さってーと? 五奇ちゃん、地図ナビよっろ~」
「はい! 等依先輩、運転よろしくお願いします!」
そう五奇が答えれば、等依はウィンクをし、鬼神と空飛が後部座席に乗り込んだのを確認すると、車を発進させた。
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「……ここかぁ。なんか、不気味だなぁ?」
山岳地帯入り口付近の駐車場に車を置き、徒歩で目的地まで来たところで思わず五奇はそう口を開いた。
山をくりぬいたかのような洞窟から、奥にうごめく妖魔達の気配を感じる。
五奇の独り言を聞いていた空飛が深く頷くと、
「まさにホラーのようでございますね!」
そう目を輝かせる空飛に、三人は絶句してしまった。しばらくの沈黙の後、五奇が誤魔化すように、
「……汀様の加護はすでに受けているし、みんな準備はいいですかね? この中に入りますよ!」
四人は頷き合うと、指定された場所、深く暗い洞窟内へと足を踏み入れた。




