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滅炎の復讐者  作者: 古口 宗
第六章 反乱終結編
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49話 これからの方針

 夜、セメリアス領では今も火の魔法使いの捜索が続いている。

 兵士達を纏めるために張られた、一番大きな天幕に私達は集まっていた。


「それで、代償が分かったと聞いたのですが、本当ですか?」

「えぇ、確証は無いですし作戦に組み込めるかは分かりませんが、知っておいた方が選択肢も広がるかと。」


 カーネとアル君が今の状況を確かめるように、話し始めた。その横でナイアース伯爵が頷く。


「そうだな。知っている方が動きやすいだろう。話してくれるね?」

「憶測になりますが。奴の代償は自身の魂を燃料とすることかと。」

「なに!?魂そのものをか!」

「今のって驚く事か?」


 ナイアース伯爵が驚き、その横でパンテルが首を傾げる。それにケアニス様が答えた。


「魂は命そのものだけど、それ以上に死後の事もあるんだ。魂が残っていれば、一月後の蘇生が成功した資料もある。建国の頃、今から二百年は前の頃だけどね。」

「でも、相手はあの悪魔だろ?」

「パンテルがどう思っているのか知らないけど、悪魔の主な代償って体の一部か特定の物に触れると呪われるくらいだよ?命を、まして魂を所望するなんてなかった。」


 資料等があり、既に知っていた貴族関連の人達が頷く。...知っている様に頷くアル君とエピスさんは多分、今聞いたんだろうけど。パンテル程素直じゃないし、知ったかぶりかな。


「なるほどな...あっ?なら、なんで今までは無事なんだ?」

「それは、他の魂を使ってたんだろ。今回はその魂の魔力でアラストールを炎として顕現させて、俺に消されたから本体の魔力でアラストールの存在を保ったんだろうと思う。あれだけ魔力が減らされてて、全部消せなかったのが腹立つけど。」

「なら、火の魔法使い本来の魔力まで削ればあいつは魔力使うたんびに自分がボロボロになんのか。」

「それと、魔力を燃料にしてんなら文字通り魔力を消費してんだろうな。」


 魔力はバッテリーみたいな物だ。使っても疲労がとれてくみたいにそのうち回復していく。

 でも、火の魔法使いの場合はバッテリーよりもガソリンに近いんだと思う。使えば他所から持ってくる必要があるんだよね。


「ふむ、それなら数で推して防御を強い続けられれば勝手に自らの悪魔により魂が燃え尽きて滅びる訳か。」

「可能ならば、そういうことです。」


 ナイアース伯爵がまとめて、アル君が頷く。すると、今まで黙っていたお父様が藁にもすがるといった雰囲気で無茶振りをとばした。


「では、件の魔法使いが潜んでいそうな位置などは分かるかな?君は最も奴と話した人物だ。何かないかな?」

「それは流石に...しかし、次に奴がいくなら王都かと。」

「それは、奴がアレーシグ公爵に協力しているからか?」

「いえ、あいつにそんなのは関係ないと思いますよ。単純に都合がいいから協力しているだけでしょう。王都にいると思うのは、魔力の多く取れそうな上質の魂が集まる所だからです。」

「王族の方々か!!」


 お父様が立ち上がり、ナイアース伯爵が顔をしかめる。反乱の過程で襲われる可能性もあるが、目的が襲うこととなると話が別だ。とたんに守る術が減る。


「ならば、包囲を解くわけにもいかんな。どうにか食い止めなければ...。」

「いや、解こう。」


 お父様が外に陣形を捜索から包囲を重視したものに変えるよう伝えるために立ち上がると、ナイアース伯爵が真逆の意見を発した。


「トライトン!?」

「父上!?」

「メテウス殿、ケアニス。今ここには魔力の多い貴族は少ないが、並々ならぬ領民がいる。抵抗の術がない以上、弱った奴が狙うならどちらだ?」

「しかし、王族を危険に晒す訳には!」

「外に追い出すように捜索を強め、見張ろう。王都に向かいここより離れた所で、叩く。」


 しばらくの間、音が消えた天幕にガタンと再び音が戻る。


「おい、エピス?どこ行くんだ?」

「お前は左腕と左目ですんでいるけど、領民なら確実に死ぬ。王都の戦場で殺す方が楽だろ?兵士なら勝手に逃げるさ。という訳で、領地の回りくらい見張ってあげるよ。」

「なら、私も見張りにつきます。貴方が寝ないように。」

「それは僕の見張りじゃん...。」


 エピスさんとカーネが外に出る。再び音が響く。


「決まりだな。んじゃ、俺は南の方でも回って民衆の護衛でもしてくらぁ。」


 パンテルまで出ていってしまった。


「...トライトン卿、貴殿は凄いな。私ならそんな決断は出来んよ。もし王家に何かあったらと思うとな。」

「安全策は悪くないさ。私に合わないだけだ、メテウス殿。」

「...僕らはどうしようか?」


 常識人なケアニス様が小声で聞いてくる。早すぎる話の展開に着いていけてないんだろう。私もだ。という事でアル君を見る。


「...どうした?」

「いや、どうしようか?」

「奴がセメリアス領を出てくにも魔力がいるだろ。領民の被害を最小限に押さえるように見回りをしたらいいんじゃないか?パンテル一人だと手が回らないし、兵士なら捜索で忙しいだろし。」

「...いかないの?」

「話の流れに考えは追い付いたんだけど...出ていくタイミングを失った。」

「君もか...。」


 アル君もダメダメだった。

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