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滅炎の復讐者  作者: 古口 宗
第六章 反乱終結編
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48話 目覚めと開始

 オレンジ色の光が瞼を直撃し、俺は目を覚ました。ベッドの上にいた俺は窓の外をみる。既に黄昏時のその光が今度は目を直撃して少し悶える。


「前回と違うのは部屋だけだな。いや、今回は膝枕ではないな。」


 ベッドの隣で机に突っ伏して寝息をたてるエレシアを見て思う。それ、息苦しくない?


「さてと、ケガはないみたいだし人探して状況でも聞くか。」

「何か聞きたいの?」

「場所とか、火狂いの事とか...。なんかこれも記憶にあるやり取りだな。いつから起きてたんだよ。」

「またアル君が、独り言言うかなぁって。なんか懐かしいから、つい。」


 机から起き上がったエレシアがニコニコしながら近寄って、ベッドに腰掛けた。


「額に跡ついてんぞ。」

「えっ?うそ!」

「うそ。」

「もう!」


 簡単にからかってやりながら問いかける。やっぱり軽口叩くなら火狂いじゃないほうがいいな。


「とりあえず、ここどこ?」

「本当に跡着いてないよね?」

「ついてないよ。ごめんって、そんなに睨むなよ。」

「ついてないならいいの。それでなんだったっけ?」

「場所だってば。」

「あぁ、そっか。お屋敷が焼けちゃったから、ここは街の宿屋さんだよ。他の部屋にも家が焼けちゃった人とか、怪我人とかがいるはずだよ。」

「えっ、金そんなに持って無いんだけど。」

「宿屋さんごとセメリアス家の貸しきりだから代金は心配ないよ。て言うか、さっきまで火事に巻き込まれて意識不明で心配振り撒いた人のセリフじゃないでしょ、それ。」

「心配するような人いたっけか?」

「ケアニス様とか、私とか...私とか。」

「思い付かなかったな?」


 宙を見ながら首を傾げるエレシアに呆れながら指摘する。俺はここでは知り合いほとんどいないし、むしろ王都でもばあちゃんの家に籠り気味の奴だ。親しいの鍛冶屋の親父くらいじゃね?


「せっかくまた会えたのに死んじゃうんじゃないかって、かなり恐かったんだから。」

「ただの魔力切れと一酸化炭素中毒だろ?魔力の総量が少ないんだから、復帰も早いだろうしな。」

「でも、エピスさんがもう少し遅れてたら危ないところだったって。」

「つまり危ないところではないってことだろ?」

「もう!だーかーら!アル君はもっと周りの心臓にも易しい行動してよ!」

「エレシアが言うか?それ。火狂いに屋敷まで焼かれてんの見たときは心臓止まったかと思ったぞ?」

「それ、不可抗力じゃん!」


 不毛な争いを続けていると扉が開いて懐かしい顔が覗く。確かたまにエレシアの迎えに来ていた人だ。綺麗な青い髪の人。


「シア、声が廊下まで漏れてるわよ?ケンカ?」

「ケンカじゃなくてお説教。アル君が危ない事ばっかりするから。」

「あら?じゃあシアにも」

「私もうさんざん言われたから!」


 やっぱり言われてんじゃん。俺の事ばっかり言えないな、こいつ。


「君達、いちゃついてる様にしか見えないから止めれば?」

「うお!?相変わらずびびらせんなよ!いつきたんだよ!」

「勝手に驚いたのが悪いでしょ。」


 エピスの奴、口の悪さ増してねぇか?


「あっ、そだ。連れ出してくれたんだって?ありがとな。」

「どういたしまして。お礼に公衆の面前でさっきの恥ずかしいやり取り披露して笑わせてくれてもいいよ?」

「お前のジョークは笑えないけどな。普通にどういたしましてだけでいいだろ。」


 ていうか、いちゃついてねぇし。一部屋が随分狭くなったように感じる。パッとみたら俺が羨ましいと思われるような図だが、男女比率は同じだ。


「なんか失礼な事かんがえなかった?」

「別に?それよか火狂いはどうなったんだ?知ってるか?」


 青い髪の女性と話が盛り上がり始めたエレシアはほっといて、エピスから聞くか。


「あぁ、あいつなら今捜索中だよ。多分、セメリアス領地からは出てないでしょ。」

「それなら多分大丈夫だ。右足壊しといたし、魔法を使いたく無さそうだったからな。」

「魔力切れか?」

「もっと深刻そうだったぞ?」

「なにしたんだ君は...。」

「そんなに引くなよ、自衛しただけだ。」


 実際、狙ってやったことと言えば右足と右腕の破壊位だし、右腕は失敗したし。

 今考えてみると、あの後ろに出てきた火の塊はアラストールそのものだったんだろう。顕現とかいってたし、生き物の様に蠢いていた。炎と言いきるには少し疑問が残ってしまうものだ。

 それを強引に、無理やり打ち消したのなら火狂いにもアラストールにもダメージがあったって訳だ。俺は魔力が文字通り減った。アーツはまだ使えるけど簡単な魔術でさえ発動すらしなくなったろう。アラストールは単純に削られたのがダメージだろうな。火狂いが炎の中を歩いて撤退してたし、契約が続いてるだろうから死んではないだろけど。火狂いは...魂が持っていかれた?全部じゃないにしろ()()()()()()()ってそれ以外ねぇよな。


「そういえばアラストールって魂を燃やして自分の魔力にするんだっけ?」

「いきなりなんだよ?まぁ、その通りだけど。でも、どちらかと言えば自分の食事に近いんじゃないか?悪魔ってのは魔力の塊なんだろう?」

「...火狂いの代償が分かったかもな。」

「それなら、皆で話した方がいいな。少人数だと意見が偏る。」


 それじゃ、言い出しっぺのエピスに集めて貰おう。

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