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滅炎の復讐者  作者: 古口 宗
第四章 王国反乱編
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37話 戦況変動

「つまり、あれの後ろから奇襲して撤退戦しろってことか?」

「えぇ、押し込むと乱戦になり数の利で厳しい戦いになるでしょうから。皆さんなら難しい撤退戦も安く成し遂げられるのではと。」

「へへっ、美人からのお世辞とありゃあ張り切るしかねぇな?大将。」

「そりゃお前だろ。まあいいさ。乗らねぇ理由がねぇしな。俺達からも西回りで伝令していくからよ、東で待機しとくといいさ。」

「ありがとうございます。では、合図はその手の石が光りましたらお願いしますね。」

「おうよ。魔術師までいるたぁ驚きだが、報酬分はしっかりと働くぜ。じゃあ、王子様にゃあしっかりと俺達の事を推薦してくれと依頼主に伝えてくれよ、嬢ちゃん!」

「っ!...えぇ、しっかりと伝えておきますね。」






「南から回ってきたよ。西の方からここまで伝令してくれるってさ。」

「それで、石までまかせたの?あれ高いのだけど。」

「まぁ、ここでそれ欲しさに裏切る馬鹿は多分いないよ。どのみちここまで回って来るでしょ。」

「...なんか怒ってないかしら?」

「君とは関係ないよ。」


 伝令は私は東を、足の早いエピスが南回りを担当していた。

 その後、アレーシグ公爵家とは逆の北を私が、遠い西にエピスが赴く予定だった。まぁ、私が北に行く前にエピスはこうして仕事を終わらせて東にいるのだけれど。なので遅いのを怒られたのかと思ったのだけど、私では無いらしい。


「じゃあ、何故?」

「君には関係ないよ。」


 先程慰められた言葉と近いけれど、かなり突き放した言い方になった。やっぱり怒ってるじゃない。気まずい沈黙を過ごしていると隠れ場所を提供してくれた傭兵団の人が来てくれた。


「おーい、姉ちゃん達。伝令と石が回ってきたぜ!」

「僕は姉ちゃんじゃないけどね!」


 エピスが石を乱暴に受け取り戻ってくる。あぁ、怒ってたというより、ずっと女の子と間違えられて拗ねてたのね。


「まったく...。それで?合図はどうするの?」

「私たちが充分に王都を出られる距離で発動するわ。具体的には井戸から出てからね。」

「じゃあ、馬は近くの村まで諦めるか。はぁ、走るのかぁ。面倒だな。」

「いや、魔術使えば朝までには着くわよ?」

「僕が君を抱えて行けば今日中には着くよ。」

「...。」

「どうする?」

「お願いするわ。」

「よし、今晩は村で寝れるね。」


 なんだか拍子抜けした。エピスは気にしないのね。






「伝令!アレーシグ公爵家が...アレーシグ公爵家が出火いたしました!」

「なに!?別動隊の安否は!」

「確認しについてきた奴隷兵と共に全滅の模様です...。」

「これでは騎士団が奴隷兵を人質ごと巻き込んで自爆したように見えるはずだ。くそっ、騎士団がトラップにかかるとは...!まさか火の魔法使いが戻ってきたのか!?」

「いえ、火は鎮火しましたので違うかと。」

「では、何故?...奴隷兵に仕込んでいたか!?」


 人質を助けようと屋敷に近づいた奴隷兵を自爆させる魔方陣...。叔父上なら仕込んでも不思議はないか...!


「しかし、これでは奴隷兵の士気はむしろ上がるぞ。私たちが非道な敵のようなものだ...!」

「王子、ご指示を!」

「...城に八十人ずつ入れろ。地の利を活かして、私と姉上で迎え撃つ。」

「八十人ですか!?しかし、それでは流石に」

「構わん。やれ。」

「っ!分かりました。ご無事で。」

「お前達もな。」


 さて、もうやるしかないな。隊長格がいなければ問題ないはずだ。ルセーネとスティアーラは父上の護衛を頼むとしよう。


「あら?出るの、アス。私もいきますわよ?」

「外ではなく中で迎え撃ちます。姉上も手伝ってください。ルセーネ、スティアーラ、父上の護衛を頼む。誰も部屋に入れてはいけないよ。」

「はい、分かりました。お兄様も頑張って下さいね。」

「...アス兄、死んだら呼びつける。」

「それは遠慮しておこう。いっておいで。」


 二人を城の上部に追いやり姉上を振り替える。


「八十人です。」

「...そう。まぁ、頑張るしかないでしょう。」

「姉上、死なないで下さいね?」

「貴方こそ。無傷で王は守るものよ。それでこそ「飛来する結晶」でしょう?」

「あれは建国の王に負けたのでは?」

「王を認めたのです。無敗ですわ。それに魔獣の群れの話です。」

「その伝説は知りません、姉上。」


 開かれた大扉を()()()()()()兵が殺到する。半分ほどは獣人で残りが正規兵だろう。若いのが多いのは騎士団の配慮か。相変わらず器用なことをする。騎士団長、貴方の部下はいい者達ですね。


「まぁ、八十人ぴったりですわ。流石ですね。」

「えぇ、本当に。」


閉まる大扉に驚く兵が僕らを見つけるまで後、数秒だろう。

階段を降りながら姉上が呟く。


「私は60人受け持ちますわ。」

「では、私が残りを。」


返す私の右目は赤い光を放っていた。

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