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滅炎の復讐者  作者: 古口 宗
第四章 王国反乱編
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36話 準備は万端でした

「アロシアス王子!王都内部にて反乱軍の増加を確認、正規兵では無いようですが数が多く潜伏が困難になっております!」

「奴隷兵を出してきたね。士気の維持は解放を餌にでもしているのかな?」


城から見下ろしてみれば、至るところに動く松明が見える。せっかく暗い夜なのに灯りを持って移動する辺り訓練を受けている訳でないのは明らかだ。


「まぁ、潜伏は難しいけれどあれなら、見つかることは無いんじゃないかな。目立ちすぎてる。」

「それが数が問題でして。実はまだ家屋の中から出てくる者もおりまして。」

「...自分の派閥の貴族や商会にあらかじめ動かしていたのか。犯罪の証拠を預けるとは、随分と思いきったことをしてきていたのだな、叔父上は。」

「いかが致しますか?このままでは、反乱軍と当たる前に此方が消耗します。」


確かに思ったよりも数が多い。このままでは、七日程で押しきられるかな?しかし、奴隷兵をここまで集めればそれこそ裏切りのリスクが高すぎるのではないだろうか。...いや、そういえば彼等は重度犯罪者ではなく誘拐されたのだったか?それなら人質でも有効だろうな。だとすれば維持の要となる人質は手元に置くはずだな。


「しょうがない。城の外の部隊に矢文によって伝令しろ。アレーシグ公爵家の屋敷を奴隷兵の前で襲撃、見せつけるように救出し、奴隷兵の解散を優先とな。...全く、包囲の突破を目的としていたんだがな。」

「はっ!直ちに!」


しかし、これでは本軍はダメージはない。時間稼ぎでしか無いのだ。戦いが始まった後では僕の魔眼も意味がないか。


「指揮は慣れていないというのに。まぁ、火の魔法使いにめちゃくちゃにされるよりはいいか。」


いざとなれば王城内部により、魔術のトラップと奇襲を行えばいい。そのときには、僕や姉上、ルセーネ辺りが応戦することになるかな。通路と魔方陣のチェックや、招き入れる最大人数とタイミングを計算し直して僕はため息をはく。

これで確実に安全に削れるのは一度に十人で、1日三回出来ればいいほうだろうな。1日三十人、向こうの過剰戦力を思えば微々たる物だろう。


「安全策を取らなければ十倍は行けるが、招き入れる側の消耗が激しいと本末転倒だからな。まぁ、姉上が突っ込むよりはいいか。」


囮作戦で王族が死んでは意味がない。姉上辺りなら「王は貴方でしょう?」とか言って飛び出しそうだしな。「飛来する結晶」も、姉上が真似ても良いようもう少し安全な伝説を残して欲しかった。まぁ、故人に言っても意味は無いが。


「まずは奴隷兵の動きを確認してからだな。後は包囲を広げてしまえば、防衛側に有利なのだが...。」


そのためには此方が広がる必要がある。広がりすぎると兵の密度差が縮まり過ぎて本末転倒になるが、城の範囲だけだと流石にまだ此方の攻撃が届かない範囲がある。包囲の外側が自由過ぎるのだ。もう少し、此方の包囲に相手の人員を割かせたいのだが包囲を広げさせるのは難しい。


「やはり広げるのは現実的ではないか。少しずつ招き入れて城の中にて削るとしよう。そのためには正規兵を引っ張り出さなくてはな。」


しばらくは、包囲の外にいる部隊に任せて現状と戦力の維持を徹底させる旨を伝えるため、僕は城から降り始めた。






スラムを通りすぎて魔術を解除した私は先程の正装ではなく、スラムのそこかしこから集めたまともそうな服、つまりあまりしっかりとしていない服と土汚れを纏ったもの。更に深く帽子をかぶればそこらにいる細身の男性に見えるはずね。


「行動が早いね。でも首になにか巻いたり肩に何か積めた方がいいと思うよ。女性らしさが抜けきってない。」

「ありがとう、でもそれを貴方が言うの?」

「僕は男性なんだけどね。」


そう言いつつ、エピスは疲労軽減や呼吸補助等の移動に適した魔方陣を何枚も私に渡してきた。


「これは?」

「通りすがりに失敬してきた。後、馬はあっちに隠してる。」


そう言って指差したのは倒壊した家屋だった。あの家の住人がどうなったかは考えない方が精神衛生上よさそうだ。


「でもここから出るだけなのに変装する意味あったの?」

「出る前に少し仕事をしておこうと思って。知ってる?下町の人達には衛兵が思い付かないような隠れ場所がいっぱいあるのよ。」

「あぁ、途中にいた傭兵団は君が雇ったものなのか。道理で潜伏した騎士団を匿っている訳だ。」

「彼等が外から動けば包囲を広げるために正規兵が前線に出てくるでしょ。」

「人数的に後300歩分くらい下げなきゃいけないよ?」

「奴隷兵を集めすぎると突破されるから100歩分くらいでいいはずよ。まぁ、王子に援軍を呼ぶ気があるか分からないから、包囲の意味分からないけれどね。」

「確かにあの人は援軍を頼りにする人ではないか。まぁ、腐れ公爵はどのみち包囲してなきゃナイアース家でも呼ばれそうだけどね。」


随分と嫌っているのね、アレーシグ公爵の事を。

まぁそれは私も同じかと切り替えて、傭兵たちに頼むために私は歩きだした。

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