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滅炎の復讐者  作者: 古口 宗
第三章 エレシアの物語
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27話 アルの書き遺した物

 悪魔の心臓と魔人について。

『新しく分かった事をサービスで書いとくよ。

 まず魔人は多分知ってると思うけど、俺が考えを整理する意味でも書いとくね。』魔人は悪魔になった人間を指す言葉で、魔力や動植物は悪魔にはなっても魔人にはならない。悪魔と大きく違うのは実態があることである。

 ここからはあんまり知られていないみたいで魔人は二つの方法で生まれる。その前に悪魔の心臓の事を説明する。

『悪魔の心臓は魔人を作る物だよ。少し調べてみたけど町の図書館に興味深い童話があったよ。記しておくね。』


 昔、ある国で極端に悪感情が高まり一人の男に向けられた。指向性のある意思は魔力を動かし、魔力の集まった男の肉体は崩壊し魔王になった。その魔王は漏れでた悪感情の魔力を集め悪魔を作った。悪魔達が魔法を使うたび世界にマナの流れが出来ていき漏れでる悪感情の魔力は魔王の元に集まっては悪魔となった。

 濃密なマナは動植物をより闘争に向いた形に短時間で進化させていきそこはいつしか魔界と呼ばれた。魔王が倒された後も悪魔は僅かずつだが生まれている。


 つまり、魔王っていう悪魔の元がいる可能性が高い。実際に起こった出来事も多く出ており、多分可能な事柄で信憑性は高いと思われる。

『そして悪魔の心臓は多分魔王の集めた悪感情に寄っていくマナそのものだ。魔力と物体を強引に結びつける道具は不純物があったら、そのエネルギーを生めないはずだからね。

 そして悪魔の心臓は悪魔と人を結ぶ鍵だ。人は代償を無くして悪魔と同じ寿命を得て、悪魔は力がまして上位の悪魔に進化できる。その代わり片方が死ぬことが双方の死に繋がり、意識や精神が混ざった状態になる。まず人が壊れるだろうね。

 話を戻すとこの悪魔の心臓ともう一つ、』魔王を作った方法で魔人は出来る。実際に魔力を集めると肉体は残らないから、正しくは悪感情を高めて魔力に意志が宿ることかと思われる。

 魔人と悪魔の心臓については以上だ。

 ―――――――――――――


「って、あるよ。」

「なるほどな。随分と硬い文体を書くと思ったら、悪魔の心臓と嬢ちゃん宛の所はくだけてんだな。」

「この手記、最後の魔人の作り方以外は重要な事がシア以外読めないんだけど?」

「私宛だからいいんじゃない?」


 ガタゴト揺れる馬車の中は本を読むのに適さないと思うな。凄く疲れる。パンテルは馬で並走して話してるけどあんまり揺れてないように見える。...馬の乗り方教えて貰おうかな?また、行動力以外にもなんか習ってくださいって言われるかもしれないけど。


「この裏はなんて書いてあんだよ。全部読めねぇ字で書いてんぞ。」

「今から読むよ。でもなんか個人宛みたいだから、必要なことだけ後で話すね。」

「んじゃ、少し離れて走らすわ。車輪に巻き込まれちゃたまんねぇからな。」


 さて、残りはっと。

 ―――――――――――――

『ここからは少し個人的な、アルではない立場になるけど話しておくよ。何せこの文が出てるってことは多分、想定外の事態になってるからな。謝る意味も込めて、な。

 気付いてるかもしれないけど、俺は魔法使いだ。いや、正しくないな。多分魔人だ。つっても正直人と変わんないけど。

 俺の悪魔はピルケアルっていう。少し特別な奴で、最初から一体化してたんだ。力は「火を消す」物で代償は「消した火で自分を焼く」ってもんだ。治りきった火傷が広がるみたいで直すのは無理だけどな。

 ここからは少し曖昧な記憶なんだがピルケアルの物だ。まず俺の魔力が少ない理由は丸々ピルケアルになってたからなんだ。ピルケアルの存在と前世の記憶が魔力になってたもんだから俺が動かせる()()()()()()()が少ないってわけだ。こっちに来て仕事を果たしたら、そのまま暫くは眠ってるみたいになったピルケアルが火狂い、あぁ、火の魔法使いな。そいつの火に俺が当たることで段階的に目覚めていったんだ。まず記憶、次に力だ。

 そして多分今、俺はもう一回あいつの火に当たってお前とは会えなくなってるだろうな。そういう魔方陣にこの文を隠したから。とりあえずそんなお前に言いたいことは、安全な所にいろって事だ。お前なら多分、色々探るだろうが一つ役割を置いといた。それに集中するためにも安全な所にいろよ。

 ヱ/#ゞ#¥葵より。』

 ―――――――――――――


「最後のは名前?掠れてて読みにくいなぁ。消した後かな?」


 消すなら書かなきゃいいのに。気になるじゃん。というか、役割って悪魔の心臓の破壊かな?マナの破壊ってどうするの?物体化したマナの解除方法なんて検討つかないんだけどなぁ。

 とか、考えながら馬車から下りてこけそうになった。まさかアル君の罠!?


「なんて書いてたの?」

「アル君は魔人だけど悪魔が特殊で火傷を広げて火を消せる以外はただの人間だよって、告白だよ。」

「それはただの人間ではないような?」

「何でもいいよ、アル君はアル君だし。それよりも火を消すってあの火の魔法使いの火も消せたんじゃない!?」

「それなら、あんだけ屋敷が焼けねぇだろ。」


 馬車を見送ったパンテルに言われてそれもそうかと思ってしまった。まぁ、そうなんだけど少し位希望を持ってもいいと思うんだけどな。


「さて、あの家の地下室だぜ。」

 

 ピルケアルの正体とかこっちに来ての仕事とかを考えてるとパンテルに呼び掛けられた。とりあえず、後で考えるとして今は地下室探索だ。

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