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滅炎の復讐者  作者: 古口 宗
第三章 エレシアの物語
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26話 隠密作戦開始

「この裏にまだ残っていると思うわ。」

「なんかカビくせぇとこだな。」


カーネの案内で王都の下町でも更に暗いところ、スラムとでも言うような所にきた。ガラのわるいお兄さんにはパンテルがちょっと()()したり、やたら呼び止めてくるお姉さんにカーネが何か囁いたりしながら進んだ為、かなり急いだはずなのにもう昼になりそうだ。


「まともに掃除する人なんていると思う?」

「いや、ねぇな。」

「ねぇ、カーネ。この裏って?」


カーネの指したのはどこからどう見ても瓦礫の山だ。少し臭うし奥には壁しか無さそうなんだけど。あの壁倒れないよね?凄く傾いてるんだけど。


「来て。こっちからなら行けるから。」

「うおっ!?せま!」

「あー、パンテルはきついかもね。」

「今だけは嬢ちゃんみたく小柄になりてぇ...。」


瓦礫の一部の板をのけるときれいにトンネルになっている。これ崩れないよね?

頑張って抜けると、そこには地下に降りる穴が開いてて梯子がある。


「これって下水道?」

「でも、そんなに臭わんぞ?」

「今は使われて無いのよ。早く降りてきて。」


穴からカーネの声がする。もう降りてるみたいだ。梯子は錆びてて滑りにくいけど時々壊れている。やっとの思いで私が降りるとひょいひょいとパンテルが下ってくる。...そっか、がたいがいいから忘れがちだけど身軽だよね。クロヒョウだし。


「ここならバレにくいと思うわよ。元々情報売りと暗殺業なんかで生きてた人が此処に隠れて住んでた位だから。」

「その人は?」

「さぁ、分からないわ。ここにいたのも三年位だったみたいだし。随分とお世話になったけど。」

「あん?姉ちゃんがか?」

「えぇ、私は元々この辺りに居たもの。かなり綺麗な人で博識だったのよ。色々な事を教わったり、食べ物とかたまにくれたり、服とか貰ったりしたわ。変態から守ってもくれたし。面倒くさがり屋さんだったけどいい人だったのよ。まぁ、その分掃除とか料理とか書類の片付けとか遣らされたけど。」

「それはただのお金に余裕のある面倒くさがり屋さんなんじゃ?」

「変わった姉ちゃんばっかだな。ここは。」


少し家具のようなものが残る空間を見渡していたパンテルが振り返りながら呟く。


「何故私を見るの?それにその人は男の人よ?」

「綺麗なっつったのに?」

「よく男を騙したり女の人に近づいたりしてたわ。」

「容姿の悪用って奴だね。それより、ここは他の出口はあるの?封鎖されると困るよ?」

「あの奥が郊外の井戸に通じてるから大丈夫だと思うけど...。」


カーネが自信無さげに呟く。

ここに居たのは9歳までだったみたいだし、もう12年が経っている。記憶や、ここを知っている人とかがあやふやでも無理は無いよね。


「まぁ、そこまで心配してもきりがないさ。とりあえず地理的には問題ないぜ。少し臭うから鼻がきかねぇけどな。」

「まぁ、潜入には気付き安いし大丈夫だとは思うわ。」

「それじゃあここを拠点にパンテルの言ってた地下室に行ってみよう?何か分かるかもしれないし。」


地上に出るのは少しきつかったです。二人とも運動神経良すぎだよ~。






「じゃあ、馬を借りてくるが乗れる奴は?」

「無理かしらね。」

「無理だね。」

「...馬車を借りてくる。」


パンテルに金貨をいくつか渡すと銀貨はないかと言われた。隣でやはり魔術師の金銭感覚は...。とか聞こえるけどスルーで。

暫くは荷物を整理して待っていると、パンテルが戻ってきた。


「御者付きのだから、少し高くついた。すまんな。それと護衛として動く為に俺は馬だ。んで、これがあまりだ。返しとくぜ。」


何枚か銅貨を返された。うん、本当に高いな。多分秘密を守れるかしっかり相談したんだろう。まぁ、魔術の道具に比べたら子供のお小遣いみたいな値段だし、いっか。


「じゃあ、行こうか。西の廃村だっけ?」

「そうだ。本読み込んどいてくれよ。」

「本っていうかメモだよ。多分アル君の。」


だってこの本は魔術の基礎と関係表、いい材料とその性質とかが書いてある本だ。悪魔の心臓なんて、そんなに物騒そうなの書かれてない。

鍛冶屋の店主さんの話だと最後のページらしいけど...。


「これかな?悪魔の心臓と魔人についてって書いてある。」

「ソフィア様の字とは筆跡が違うのはアル君の字だからかしら?」

「うん、他の人の筆跡じゃないよ。あと、ちゃんと証拠もあるし。」


こうなることを考えてた訳では無いだろうけど前世の文字で『新しく分かった事をサービスで書いとくよ。』と書いてるし、まずアル君で間違いない。というかこれ、本を閉じ直してページ増やしてる?相変わらず器用だ。


「半分は分からない言葉ね。ソフィア様の暗号か何かなの?」

「ううん、多分ソフィアおばあちゃんも読めないと思うよ。」


機密に触れている所は前世の文字で書いてある。なんでそれをアル君が知ってるんだろう?ソフィアおばあちゃん繋がりかな?


「なんて書いてんだ?」

「今から読むんだから待ってよ。はぁ、文字ばっかりだと読みにくいなぁ。」

「頑張ってね、シア。」


さて、なんて書いてるんだろう?

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