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滅炎の復讐者  作者: 古口 宗
第三章 エレシアの物語
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18話 再びの17才に少女は思う

今回から第三章開始です。

 私の顔に差し込んだ秋空の朝日が眩しくて目が覚める。

 いつもなら多少強引な目覚めに不機嫌になる私も今日は違う。なんせ今日から17歳になるのだ。前世では一月ほどしか経験していない17歳だ。最も、17歳で何があるわけでも無いけれど。


「お嬢様、お目覚めになられましたか?」

「えぇ、今起きたところよ。おはよう、カプラーネ。」


 私が着替えている音で気づいたのか、カプラーネが声をかけてくる。いつも待ってくれてるカプラーネはいったい、いつ起きてるのか気になるんだよね。私も早起きな方なんだけどなぁ。

 部屋から出ながら挨拶をした私にカプラーネは微笑みながら小声で声をかけてくれる。


「お誕生日おめでとう、シア。」

「うん、ありがとう。カーネ。」


 二人で食堂に向かうともう両親はとっくに席についていた。なんだか今日は皆、早起きだ。


「おはようございます、お父様お母様。」

「あぁ、おはよう。エレシア。そして17歳おめでとう。」

「おめでとう、エレシア。それと今年はプレゼントだけ送られてきたわ。ソフィアさんは体調を崩されたみたい。...大事には至らないから心配はいらないと手紙には書いてあったわよ。」


 私の考えたことは顔に出ていたみたいでお母様が笑いながら教えてくれた。歳も歳だし、もしもの事を考えてしまったけど大丈夫らしい。あー、良かった。






 朝食後、カプラーネがソフィアおばあちゃんから送られてきた荷物を持ってきてくれた。18歳になると大人として扱われるのがこの国であり、最後の誕生日プレゼントは家族だけで嫁入り道具なんかを送るのが習わしだ。だから、ソフィアおばあちゃんやアル君からのプレゼントはこれで最後になる。わくわくしながら開けると包みが3つ出てきた。


「あれ?3つ?なんか多いような...。」


 一つめの包みは本だった。おばあちゃんが贈ってくれたのだろう。ずっと欲しかった魔術の教本だ。

 更にもう一つからは扇の骨が出てきた。


「これって...緑じゃなくて水色だけどおばあちゃんの扇?

 あっ、メモ...。免許皆伝!?やった!」


 どうやらソフィアおばあちゃんからは魔術師としての重要な道具一式を贈ってくれた様だ。これはプレゼントの内容もだがソフィアおばあちゃんに一人前として認めて貰えたのが凄く嬉しい。すぐにでも皆に自慢したい位だ。


「じゃあ後の一つがアル君からか。なにかな?」


 今まで、アル君と会ってからの誕生日は4回。

 最初の年は知らなかったらしく、そのまま森にいっていたらしく言伝てもなかった。まぁ、言ってなかったからしょうがないけど。

 二年目は忘れられてた。カプラーネに訓練バカと言われる所以の一つだ。

 三年目は菓子折りだった。いや、無難っていっても距離ありすぎて少しショックだった。

 四年目は金属で作った葵の花だった。水色で塗られた花は小さいけど綺麗で驚いた。ちなみに一番驚いたのは手作りだと云うことだ。時間があったから鍛冶屋の人に習ったんだとか。凄い器用なんだよね、アル君。ちなみに治癒の魔方陣付きだった。本当に器用なんだよね...アル君。

 ちなみに一回も家には来てくれていない。「貴族の、しかも侯爵の邸宅なんて行けるか!」と言われてしまった。まぁ、その気持ちもわかるけど。

 包みの中身は手紙と箱が一つあり、手紙の表には『エレシア・セメリアス様へ』のみ書いてある。別に包みを開ける人はいないのに硬い挨拶だな~と彼の慎重さに苦笑する。


「えーと、この箱は...わぁ、綺麗なペンダント。」


 手紙には次のようにかかれていた。

『ハッピーバースデー、エレシア。今年で最後のプレゼントになると聞いたので少し奮発した特別な物を送るよ。あの時に渡せなかった物を。

 今回は鍛冶屋の親父に作って貰ったんだ。ちょっと誘拐されたりしてて、時間が無かったのと自分で作るのはなんか違うかなって。あぁ、それとこのペンダントは魔道具になってるんだ。自動魔方陣とかいうものを仕込んである。効果は内緒だよ。知ってたらきっと無茶するからね、エレシアは。護身用とだけいっておくから、危ない時は身につけておいて。

 アルより。』


「あの時にっていつだろ?というか誘拐?いやいや、それよりも魔道具なのこれ!?自動魔方陣って確かすっごく高かったような...。うーん、今度会った時に聞きたいこと増えたなぁ。」


 教本を大事に戸棚にしまい、扇とペンダントを身につけて扇を開いてみる。そしてアーツで羽をってあれ?


「ふ、二つしか出来なかった...。」


 魔方陣付きで難しいとはいえ、二つか。他の八つは魔方陣が機能しない程歪んでいる。本当なら発動可能な魔方陣付きは一つでも難しいし、そもそもアーツ事態形にするのは相応に魔力を操作できなきゃいけないのだがソフィアおばあちゃんを知ってるとそうは思えない。何せ、最大十個は同時に展開するもの。まぁ、アル君は多分魔法使いだからその辺は悪魔の補助あるんだろうな。


「やはり、ソフィアおばあちゃんは大魔導師だね。うん。」

「お嬢様も、もう少し体力がおありでしたら王宮魔術師になる実力はお持ちかと。」

「わっ!?カプラーネ?」

「いえ、その。贈り物を持ってきてからいるのですが...。」

「あっ、そうだった。」


 忘れてた。って、はしゃいでるの見られたかな?見られたよね?あー、恥ずかしい...。


「カプラーネ、内緒ね?お願い!」

「はい、お嬢様。」


 うーん、今はそんなに優しく微笑まないで。もう子供じゃないんだから!

今回から次回予告は無しにします。話数が増えてきて、タイトル確認しながら編集がかなりしんどくなってきたので...。

なんか楽しちゃってすいません( ノ;_ _)ノ


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