表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/96

戦後処理その1

 いろいろなことがあったが、最終的には、戦いは勝利に終わった。奇襲効果に加え、隻眼の黒龍や魔法による支援に助けられた一方で、ドワーフ傭兵は数的に我が方よりはるかに優勢であり、個々の身体能力も優れていたため、味方の被害も少なくなかった。でも、ともかくも勝ちは勝ちなので、よしとしよう。

 なお、副産物あるいは副次的効果として、ウェルシー派遣軍の持ってきた兵糧をそのまま分捕ることができた。兵糧を住民に配給すれば、少しは町の食糧難の足しになるだろう。アーサー・ドーン及びG&Pブラザーズ株式会社の業務が再会するまでの「つなぎ」として、ありがたく使わせてもらおう。


 この勝利の後、程なくして、宝石産出地帯から使いの者がやって来た。すごく急いでいたので、「何事か」と思ったら、「どうにか混沌の勢力を打ち破り、混沌の領域に追い払った」とのこと。「一刻も早く、このことを知らせ、みんなを安心させたいので、急いで来た」ということだけど、良い知らせなら、慌てて持ってくることはないと思う。

 確認する術はないが、やはり、今は亡きラードが混沌の勢力を裏で操っていたのだろう。


 こうして、当面の危機は脱することができた。目下のところ、一番の問題は、捕虜の処遇をどうするかということ。

 ドーンは何やら皮算用しているようで、ニヤニヤしながら、

「カトリーナ様、捕虜の処遇は、是非とも、この私めにお任せいただきたいのですが……」

「どうするの?」

「宝石産出地帯で労働力として、低賃金労働をしてもらおうと思いまして」

「でも、それはちょっとマズイかも……」

 ドワーフは、本来の性癖として宝石や貴金属に目がないし、低賃金労働(実質は使い捨ての奴隷)に甘んじていられるとは思えない。そのうち、宝石を盗んで脱走するか、反乱を起こすに違いない。かといって、捕虜のドワーフをいつまでも養う余裕はない。町の食糧難は解消されておらず、捕虜に回すだけの食料がない。約2000人のドワーフを人質に、マーチャント商会との交渉を有利に運びたい誘惑には駆られるが、背に腹はかえられない。

 こういうわけなので、結局、

「公共事業を始めましょう。捕虜を使って郊外に大きな穴を掘るのよ」

「穴ですか? 穴を掘って、それで、どうするのですか??」

「生き埋めにするに決まってるでしょ」

 するとドーンは、ギョッと驚き、

「生き埋めですか! それはなんと…… 生かしておけば、まだまだ使えそうなのに、もったいない」

「仕方ないわ。後で大暴れされたりしては面倒でしょ。そうなる前に、始末しましょう」

 こうして、捕虜となった約2000人のドワーフは、生き埋めとなって果てた。ちなみに、歴史的には、生き埋めは稀有な例ではない。白起の40万人、項羽や章邯の20万人に比べれば、大したことはないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ