表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/96

久々に混沌の勢力

 ともあれ、一応は新騎士団長が決まった。ポット大臣によれば、このような場合、騎士を集めて新騎士団長就任披露パーティーを催すのが慣行(気になる費用は、伯爵側と騎士団側で折半)とのこと。

 基本的に悪しき慣行は廃止すべきだと思うけど、この場合は、騎士会への嫌がらせの一環として催すのも悪くないだろう。日時や場所のセットや根回しなど、細かいことはポット大臣に任せ(多少、不安もあるが)、騎士団長就任披露パーティーを催すことにしよう。


 懸案事項がひととおり片付き、執務室でゆっくりと午後の紅茶を味わっていると、

「カトリーナ様、大変です!」

 いきなり、ノックもせずにドーンが飛び込んできた。

「どうしたの? まさか、ゴールドマンの息子に逃げられた?」

「違います。それとは別の話です。実は、宝石産出地帯に駐留している猟犬隊から報告がありまして、混沌の勢力が攻め込んできたとのことです」

「あっ、そう。それで?」

「はい? ですから、大変なことに、今度こそヤツらは、完膚なきまでにボコボコに……」

 予想外の返答で(わたしが驚きもしなかったから)混乱しているのだろうか、ドーンは何やらわけの分からないことをのたまっている。

 混沌の勢力が攻めてきたのは、これで何回目だろう。慣れてきたせいか、あまり大変な感じはしない。

 わたしは紅茶を飲み干すと、少しの間、考えて、

「分かったわ。手早く片付けてくる」


 わたしはプチドラを抱いて館を出た。プチドラはわたしを見上げ、

「マスター、これからどこへ?」

「隣よ。カトリーナ学院。メアリーとマリアは魔法科の授業中よね」

 カトリーナ学院の門をくぐり、広い庭園を抜けると、果して、校舎の前でメアリーとマリアが5人の生徒を相手に、魔法の実技指導を行っていた。メアリーは横向きに槍に乗り、空中から地上の標的を次々と攻撃魔法で破壊していく。おあつらえ向きに、実戦的な対地攻撃訓練のようだ。

「二つの魔法を同時に操るコツは、どちらか一方に意識を集中しすぎないこと」

 メアリーはすべての標的を撃破すると、生徒の前に降り立って言った。

「へえ~、すごいわね、メアリー」

 わたしはゆっくりと歩み寄り、思わず拍手。

 メアリーはわたしを認めると、とりあえず一礼し、

「カトリーナ様、いらっしゃったのですか。今日はどのようなご用件でしょう」

「うん。実は、手伝ってほしいことがあってね」

「手伝いですか? あの…… どのような……」

 メアリーは、ちょっぴり警戒しているような様子。今日……特に今日は、大いに警戒するほうがいいかもね……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ