――聖受歴1,538年 始耀月1日 晴れ
対外的に、ここのボスは俺っつうことになってんだが。
もう完全に表向きはどうあれ、実情この『革命軍』仕切ってんのは黒歌鳥だと思うんだけどよ。
今日は朝っぱらから、黒歌鳥に言われて全軍整列させてなんかよくわかんねえが演説が始まった。
俺の。
そんな予定、これっぽっちも聞いてなかったんだがな? 俺。
いきなり演説しろって言われても何言いや良ーんだ。っつうかこれ、どういう趣旨の集会だよ。そこがわかんねえと演説のしようがねえだろ?
……は? 台本はもうある?
ここに書いてあることを読み上げるだけで良い?
うわーお、完っ璧にお飾りだよ俺。今更だけどな!
っつうか、お前の作った台本ってなんだよ。直前に渡すんじゃねーよ! チェックする時間がなくってマジそのまま読み上げるしかねえだろ!? 読んでることバレねーように!
もう少し前に渡されてりゃ中身を確認する時間があったってのに!
これまた内容、お前の捏造全開なんじゃねえだろうな!?
ああ? 別に捏造は趣味じゃないって?
嘘吐くんじゃねーよっ!!
世論がそれを求めた? 歌を求める人達の要望に応えただけ? 絶っ対にそれだけじゃねー……っ!
ちょ、おい、ぐいぐい押しつけるなよ。わかった、わかったっつうの。台本読めば良いんだろ!
は? 心配するな? 何をだよ。
……この台本、黒歌鳥一人で作ったんじゃない?
………………ヴィンスも協力して書いた?
ヴィンスの奴……! 親父を売りやがったなーっ!?
「あ、最後まで読みあげたら、皆に見えるように高々と剣を掲げて下さいね」
「なんだ、その有りがちなパフォーマンス」
「お願いします」
「……構いはしないが」
……集会の、山場。
言われるがまま演説の台本を読み上げ、最後に剣を掲げた。
………………ら、なんか俺の剣からぶっとい光の柱的なナニかが上空に向けて伸びたんですけど。
なにこれ。
何が起きたんだ……っ!???




