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――聖受歴1,537年 土耀月22日 晴れ
王家の正統とか、既に亡くなった方々についてとか。
そういう難しい話の当事者じゃねえし、俺には判断がつかないことばっかりだ。
判断がつかないと自分に言い聞かせながらも、俺の黒歌鳥への態度は不自然さを増していくばかりだ。
明確な答えが出せないまま、かつて王宮で目にした貴人の姿を吟遊詩人に重ねる俺がいた。
だが俺がそっちに気を取られている間にも、俺の懊悩とは裏腹に事態は進んでいたらしい。
――は? 明日王国の四方八方から王都に向けて進軍を開始する!?
待て、いつの間にそこまで事態が進んだ。
や、やべぇ……黒歌鳥にばっかり気を取られてる場合じゃねえ!!
おいおいちょっと待ってくれよ、歴史よぅ……そんな大急ぎで大回転決めてんじゃねーよ!
もうちょっと、せめて、俺の感情が追いつくのくらい待ってくれたって良いだろうが!?
ちょ、そんな良い顔で笑ってんじゃねーよ黒歌鳥!!
慌てる俺がそんなに面白いかごるぁぁぁあああああっ!




