――聖受歴1,537年水耀月6日 晴れ
今日も良い天気だった、現実が辛い。
何もしてねぇっつうのに増加していく一方の、新参兵。
無限増殖してんじゃねえのってくらい。
このなんでだかどんどこ増えていく部下の増加を止める方法は、どっかに転がってやしねえだろうか。
……まあ、反乱なんぞに加担する羽目に陥れられた今となっちゃ、こうして増えていく仲間の数は命綱に等しい側面を持っちゃいるんだが。
何もしてねぇ。
マジで、募集も何もしてねぇっつのに。
だってのに、何故か増える。
今日も俺らの元に、仲間志願者が山の列。
その背景に、あの野郎の影がちらついてんのは……
俺の気のせいだよなー……?
しかも、最近。
黒歌鳥の野郎は見える範囲にいねぇっつのに、その残滓が存在感を放ちまくってるせいで気が休まらねぇ。
それだけじゃねえ。
あの野郎だけの仕業とも思えねぇんだが……
俺と、部下と、反乱軍全体と。
要は俺らのことをヨイショと持ち上げ、英雄に祭り上げる。
んな捏造歌が凄まじい速度で蔓延してるのは……絶対ぇに気のせいじゃねえ。
今じゃ北方全域で吟遊詩人が俺らの英雄譚(捏造)を歌ってるらしいっつう報告も上がってる。
その歌に影響されて、北方全域で俺らの支持が高まっているとも。
それに比例するように、国への反抗意識の気運が高まってるらしい。
ついでにいうと国側の兵隊どもは士気がだだ下がりだってよ。
いつの間にか俺を取り巻く世界は、目まぐるしく変化の兆しを見せてやがる。
俺に、国を討て……だとよ。
今日も良い天気だ。
田舎に帰りたい。




