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【蛇足】異世界チート転生を果たしたと思ったけど、とんだとばっちりだった。

黒歌鳥一家の次男、エシャロット君。

その中身は実は現代日本から転生してきた少年だった――!?

 前世の記憶を持ったまま、俺は転生した。

 この、ファンタジー感溢れる異世界に。


 ――俺の名前は『エシャロット・エルレイク』。

 エルレイク侯爵家の次男。

 そして前世から数えれば、赤ん坊にして14歳の自我を持つ男。


 そもそもの起こりは、どこだったんだか。

 きっと俺の前世だな。

 俺には小さな頃、近所の公園で遊んでいた友達がいた。

 誰よりも仲の良かった、俺の親友『なり』。

 けど『なり』はお受験前提の私立幼稚園に通っていて、習い事も多いし、会える時間は少なかった。

 一緒に遊べる時間は少なかったけど、それでも大事な親友には変わりない。

 毎日毎日、遊べるのは一時間くらいなものだったけど。

 一緒にカブトムシを追いかけたり、アリの巣をほじくり返してみたり。

 近所の野良猫を追跡してみたり、木に登って鳥の巣を覗き込んでみたり。

 そんな毎日はとても楽しくて、一生ものの思い出だった。

 そう思ってはいたけど、小学校に上がったら『なり』はどこかの私立大学付属の小学校に進学したとかで、ますます会える時間は減った。

 俺にも小学校で新しい友達がたくさんできたこともあったし。

 会える機会はどんどん減って、会わない日が増えていって。

 すっかり親友だったはずの『なり』とは違う道だ。

 どんどん『なり』の記憶も薄れていった。

 思い出さない日も珍しくないくらいで。

 

 そうして、俺は中学生になった。

 『なり』はやっぱり私立の中学校に行ったんだろうな。

 親同士の交流もなかったし、噂を聞くこともほとんどないし。

 家は近所の筈だったが、近所の公立校では終ぞ『なり』と出会うことはなかった。


 中学2年生の時、彼女ができた。

 バスケ部に入って毎日部活に精を出していた俺。

 そんな俺の彼女になった、卓球部マネージャーの女の子。

 とびきりの美少女――って訳じゃなかったけど、笑顔に愛嬌があった。

 えくぼ可愛いな。

 ……自分の最期のインパクトが強すぎたせいで彼女の顔も名前も記憶から吹っ飛んでたけど、思い出せないけど、でもえくぼ可愛いって思ったことだけは覚えてるよ。


 付き合い始めて、3日目の夕方。

 嬉しいし恥ずかしいし、浮足立ってた。

 まだ全然『彼氏彼女』の距離感わかんねーし、緊張半端なかったけど。

 頭の中は『お付き合い』ってヤツでいっぱいいっぱい。

 だったから、見慣れない姿に気付くのが遅れた。


 学校から帰ってきたら、俺の家の前に知らない女の子がいた。


 県下でも有名な名門私立中学校のセーラー服を着ていて、どことなく懐かしさを感じる女の子。

 顔は、うん、美人だ。

 だけどこんな美少女が俺の家に、一体何の用で――?

 疑問符が踊る。

 恐れ多くて美少女に近寄れなくて、立ち止まる俺。

 そんな俺に気付いて、美少女はパッと笑った。


「たぁくん」


 それは幼稚園の頃の、俺のあだ名だった。

 猫の甘え声みたいな、親密な響き。

 なんだこれって、不覚にもドキドキした。

 でも知らない女の子に、こんな声かけられる覚えがなくって。

 無意識に首を傾げてた。

 それが、その女の子にとっては『最後の一押し』だったんだろうな。


「あは。たぁくん、私のこと、覚えてないんだね」


 女の子は、……『なり』は、とてもきれいな笑顔で。


 狂気が。

 ……狂気、が。


「………………ひどい」


 俯く彼女の肩にかかる、まっすぐで艶やかな黒髪。


「ひどい、ひどいひどいひどい!」


 怒りにわななき、震える声。

 どれだけの力を込めているのか、肩も腕もぶるぶると震えた。


「たぁくん、は、なりの……なのに」

「……え」

「なりの! 王子様なのに!!」


 俺はそれまで、『なり』が女の子だって知らなかった。

 勝手に俺と同じ男だって思ってたんだ。

 だからこそ、親友だと思ってた。

 距離感が近すぎたんなら、謝る。

 けど、けどさ?

 五歳とか、六歳の頃のことだぜ?

 いくら距離が近かったとしても、幼稚園児の頃なんだぜ?

 俺は、『親友』のつもりだった。

 けど『なり』は、目の前の綺麗な女の子は。

 ……俺と恋人のつもりだったとか、さ。

 小学校に入ってからは全くの没交渉だったのに、将来結婚するつもりだった、とかさ。

 しかも現在進行形で。


 そんなん、想像できるかよ。


 男だと思ってた相手に、そんな将来の約束とかするはずもねーし!

 なのに『なり』は俺と付き合ってたつもりだとかさ!

 今も付き合ってるつもりだったとかさ!

 俺、お前のフルネームも連絡先も知らないよ!?

 だっていうのに、なんでそう思えるのか、割と恐怖だ。


 けど、ここから起きた出来事の方が、もっと恐怖だ。

 だって彼女が、『なり』が、俺の死因だ。


「…………………………うらぎりもの」


 ぼそり、『なり』が呟く。

 いつの間にか、『なり』の右手には包丁が。


「浮気者! たぁくんの浮気者! 浮気はなり、絶対許さないんだから……!! たぁくん、は、なりの王子様なんだから!! 他の誰にも、わたさないんだからぁ!!」


 そう言って、『なり』が右手を振り上げる。


 暗転。

 俺には、ここから先の記憶がない。


 けど今、目の前でさ。

 『死神』を名乗る男か女かもよくわからん『ナニか』が言うんだよ。

 3mくらいの身長でさ、俺のことを見下ろしてんの。

 ローブのフードの中は真っ暗で、俺を覗き込んで目が合ってるっぽいのに顔が見えない。

 虚無。

 そんな感じの、見るからに現実離れした存在が、俺に言うの。


「アナタ、凄いですよね。そこから三日生き延びたんですよ」

「俺、その記憶ないんですけど……」

「ああ、余程衝撃的だったんでしょうね……死の間際の記憶。精神が壊れるくらい。自我が崩壊しないよう、防御反応が出ているんでしょう。死に際の記憶を無意識に封じてしまう亡者は多いですよ」

「淡々と言われてるけど、深く考えたら恐ろしすぎるんですけど俺どうなっちゃったの」

「聞きます? アナタは刺された後、幼馴染の『佐々(さっさ) (なり)』さんに拉致されました」

「……拉致」

「そう、雑な止血と知識の足りない応急処置だけされた状態でね。アナタの家の玄関先に、血溜り残しての失踪です。平日夕方の住宅街、人通りは少なかったですが目撃者がいたので、すぐに捜索がされました。でも計画的な犯行だったらしく、彼女は周到でしたね。警察もすぐには足取りが掴めなかった」

「いや、女子中学生の犯行だろ……すぐに警察が捕まえられなかったってどういうこと」

「彼女とアナタが見つかったのは、犯行から五日後の事でした」

「それ、タイムライン的に俺もう死んでますよね?」

「私の上司、この世界の輪廻転生を司る神はアナタを深く評価しておいでです」

「この流れで!? え、俺のこと評価するポイントどこにあった」

「あの状況から、三日も命日を引き延ばしたその手腕と。命の瀬戸際に見せた交渉力と順応力で、すぐにでも無理心中しようとする『佐々 成』さんを思い留まらせたのですから凄まじい底力でした」

「え、なにそれ。褒められても全然嬉しくない」


 そして全く記憶にない。


 だけど死神は、俺のことを絶賛する。

 見事な生存本能だったと。

 いや死んでるじゃん。

 生存本能、目的達成できてないじゃん。


「転生の神は、その手腕を見て『アナタならば』と見込まれました。ですので、アナタにはこれから精霊とかクリーチャーとかがいる此処とは異なる世界に転生していただきます」

「オイちょっと待て。さっきから聞き捨てならない言葉が多すぎるんだよ、あんた。精霊はともかくクリーチャーってどういうこと。モンスターじゃなくってクリーチャーってどういうこと」

「アナタならばきっと、あの親元でも逞しく生き延びられるに違いないと……! 例え、本来の子供の魂と違っても、その結果親御さんの怒りを引き当てることがあったとしても!」

「マジでどういうことだよ説明しろ説明。今さらっと来世恐ろしい綱渡りしろって言わなかったかおい。来世の俺の親、どんな問題抱え込んでるんだよ。怒りってなんだよ怒りって」


 くそ、身長差がありすぎて肩掴んでがくがく揺さぶれねえ!

 けどここ、絶対に引き下がったらダメなヤツ!

 じっとり睨みながら、死神へ説明要求をする俺。

 死神は、きっと悪いヤツじゃないんだろう。

 俺の要求を無視はしないんだから。


「実は……うちの転生神様が、魂の借りパクやらかしまして」


 その説明は、酷いもんだったけど。


「は? 借りパク?」

「ええ。昔からなんですよ。よそ様の世界でこれはと見込んだ人材(たましい)を勝手に借りてきて、この世界に転生させてしまわれるんです。有能で世界の歴史を回してくれる人材になること間違いなしだからと」

「しかも常習犯かよ」

「他の世界の事情はお構いなしですからね、方々で怒られていますが中々改めて下さらないんですよねえ。流石に逆鱗に触れた神の世界からはもう借りてきませんけれど、憎めない性格をしているせいで甘めに接してくださる方の世界からは未だに借りパクッてくる始末」

「それ借りてるんじゃなくてまんまパクッてますよね。そしてこの流れ、俺に不始末の皺寄せ来てるパターンですよね」

「そうなんです」

「否定くらいしろよ! 上辺だけでもさぁ!」

「それで今回、うちの上司が『これは!』と目を見張って意気揚々とパクってきちゃった魂が、ですね、どうやらマズイお家柄に生まれる予定だったようで……格別にうちの上司に甘かった神の世界だったので、今回も許してくれると思って完全に事後承諾。しかし今回はお相手の神様も見過ごせないものだったらしく」

「事後承諾。事後承諾ってことは、あれだな……それもう勝手に転生させちゃってたってことか」

「そうなんです。もう、この世界に新たな生命として生まれ落ちてしまっているんですよ……もう生まれてしまったものを、死なせる訳にもいきません。そもそもその子供の生命力と生存能力と危機回避能力が高すぎて、神様が死を与えようとしても回避する始末」

「死なせる訳にもいかないって言ってなかったか? けどその口ぶり、もう試みた後だよな? なあ?」

「お相手の神も、怒り心頭でして。どうしてくれるんだと、『あの親御さんは我々でも手に負えないし、そもそも神への信仰そのものがないからいざとなったら容赦もない。私の弟を真っ二つにしてくれた一族の末裔でもあるんだぞ!? このままじゃ魂がないせいで死産だ! 死産はあり得ない生まれなのに! 私まで真っ二つにされたらどうしてくれるんだ!?』と、大層な錯乱ぶりでして」

「今、神様真っ二つにした家系って言った? ねえ、真っ二つって」

「そこでうちの上司は、お詫び兼代替魂としてアナタの魂を抜擢しました。頑張ってニューライフを生き延びて下さい」

「そこで俺の転生に繋がんのね!? ってそれ完璧に俺、とばっちりじゃん!!」

「まあまあ、とばっちりは否定しませんが悪いことばっかりでもありませんよー。何しろ来世の肉体は頭脳関係のスペックが中々高いようですし。ご両親が美形なので容姿にも期待が持てます。良かったですねー? 転生先に異世界を望まれる方、最近多いんですよー? うちの上司、他の世界の神々に評判悪いので異世界転生希望が叶うことは滅多にありませんけど」

「ろくでもなさすぎんだろ、あんたの上司!」


 異世界転生、ね……確かに俺も憧れない訳じゃない。

 けど特に希望した覚えもない。

 っていうかさっきから聞いてると、俺の転生先にヤバさしか感じないんですけど。

 どうするんだよ、俺!

 大丈夫なのかよ、俺!?


 ――案ずるより産むがやすしと言われて、俺はそのまま転生の輪に突き飛ばされた。

 あの死神、それとその上司、マジで許さねえ。

 


 そうして次に目覚めた時。

 俺は自分が、赤ん坊になっていた。


 丁寧に作られた飴色のベビーベッドの中。

 両親との対面に戦々恐々としながら、神様にどうやって意趣返ししたものか思い悩んだあの瞬間。

 普通に考えて子供の魂が本来の物と違うとか、人間に見透かせるはずないよな、なんて。

 そんなことにはまだ、気付きもしていなかった。


 




 何もできない赤ん坊の体で、うだうだ無為に過ごしたベビーベッドの三か月。

 そもそも赤ん坊ってすぐに眠くなるせいで、気が付いたら寝てる。

 起きていても出来ることは何もないしな。

 ただ、お生まれになってから三か月って告知されたんで、きっと今は生後三か月。

 この世界に転生して、最初に目にしたのは五人か六人くらいは子供を産んで育て上げてそうな肝っ玉母ちゃん系のおばちゃんだった。重量感溢れるどっしり体型の包容力が半端ねえ。

 あの死神、俺の両親は美形って言ってたよな……?

 こっちの世界基準の美形って意味か……?

 このおばちゃんが新しい母親かー……何となくがっかりしながら、お世話をされる俺。

 けど次に顔を合わせたのは、俺の隣のベビーベッドで寝ていた赤ちゃんで。

 その子は、まだ赤ちゃんなのにそれとわかる顔の整いぶりだった。

 あ、これ将来絶対に美形になるやつだ。

 こっちの世界の言葉はわからないけど、俺と一緒にお世話されている。

 同じ部屋で、隣り合ったベビーベッド。

 更に着せられている赤ちゃん服は色違いのおそろいだ。

 これは、もしや双子の兄弟……?

 おばちゃんの操る言語がまだ理解できていないせいで、状況から類推するしかない。

 なんとなく、俺のことを『にのわかぎみ』って呼んでるのはわかるんだけどな。

 俺の名前かな。長いな。

 そんで俺の兄弟っぽい赤ちゃんは、『ひめぎみ』って呼ばれてる。

 だから俺も心の中では『ひめぎみ』って呼んでいた。

 それが名前でもなんでもないって判明したのは、肝っ玉母ちゃんとメイドっぽいおねーさん達と、双子の兄弟だけが登場人物だった新しい人生に、新たな登場人物が増えてからだ。


 その子は、唐突にやって来た。

 まだ幼児っぽい男の子。

 一人で現れたところを見るに、同じ家に住んでいる、とか……?

 さすがにこの年齢の幼児がひとりで他人の家には突撃かまさないだろうし。

 ってことは、もしや俺の兄ちゃんかな?

 赤ちゃんの兄弟より、年が上のぶんよりはっきり顔立ちがわかる。

 すごくキラキラした、金髪。琥珀色の目。

 それに若干蜜色を帯びた肌。

 何も塗ってないっぽいのに金粉はたいたみたいにキラキラしてる。

 将来はどれだけ女泣かせるのかなってくらいの、美幼児だった。

 おお、これが俺のお兄ちゃん……双子の兄弟も美々しい赤ん坊だし、これは俺の顔にも期待が持てる!

 期待値ぎゅんぎゅん上げながら、俺はとてとて部屋に入ってきた兄ちゃんを見ていた。

 肝っ玉母ちゃんが、そんな兄ちゃんに恭しく頭を下げる。


 ……おや?

 え? 頭を下げる?


 ………………その態度は、メイドのおねーさん達と同じ感じで。

 見るからに使用人の態度ってやつだ。

 ずっと母親だと思ってたんだが、もしや違う……?


『一の若君にご挨拶申し上げます』

『こんにちは。僕、弟や妹に会いに来ただけだから気にしないで。先日、やっとお医者様に会いに行っても大丈夫って聞いたから』


 後で知ったけど、この世界は赤ん坊の死亡率が前世の世界よりずっと高い。

 だから最も体が貧弱な産後すぐは、限られた人員だけで手厚く世話をされるものなんだと。

 人の手が増えたら、余計な病気を拾いやすくなるって経験則からのことらしい。

 

『初めまして、僕の弟妹。僕がお兄様のギニオンだよ』

 

 にっこり笑って、俺と兄弟の顔を覗き込む兄ちゃん。

 まだ言葉は通じないけど、挨拶は重要だよな。

 はじめましてー、『にのわかぎみ』っす。


 兄ちゃんは毎日やってくるようになった。

 その度に肝っ玉母ちゃんは兄ちゃんに丁重に接する。

 これもう確実に使用人だよ。


『彼女は君たちの乳母なんだよ、僕の弟妹』

「あうー?」


 そんでもって、兄ちゃんはまだ幼児なのに凄まじく察しの良い人だった。

 俺が疑問に思ったり、わからない単語に内心で首を傾げると、その都度親切に解説してくれたりして。

 お陰でぐんぐん俺の頭はこっちの世界の言葉を覚えていった。

 いや、覚えていったんだけどさ……学習速度が速すぎて自分で戦慄する。

 覚え始めたらマジであっという間だった。この頭、どうなってるの。

 まだ顎の筋肉の発達してないから、喋れないけど。

 気付いたら、兄ちゃんや肝っ玉母ちゃん……乳母の言ってることが完璧にわかるようになっていた。

 それというのも、本当に全部兄ちゃんが丁寧に教えてくれたからなんだけど。

 ……いくら何でも察しが良すぎるよな?

 もう心読まれてるんじゃないかって疑うレベルなんだけど。


「君がわかりやすいんだよ、僕の弟。僕よりお父様の方が凄いんだよ?」

 

 いやこれもう、完璧に意思の疎通取れてるよな。

 

 っていうか、お父様って。

 お父様って……そう言えば会ったことないな?

 肝っ玉母ちゃんは乳母だっていうし、母親にも会ったことない。

 どういうことなの。

 俺、次男だから後継ぎ以外には興味ないとか? え、冷えた関係だったりする?

 

「お父様はね、いま王都にいらっしゃるんだよ。君たちが生まれたご報告に行ってるの。ついでに暗躍してくるって仰ってたから、お帰りがいつかはわからないけど。お母様はね、体調を崩していたんだ。今は元気だけど、最初に君たちに会う時はお父様と一緒が良いからって会うのを我慢しているんだよ」


 おい、暗躍って。

 今、さらりと闇深い単語が……

 ……そういえば赤ん坊生活が続いて忘れてたけど、死神がなんか俺の親に問題があるみたいなことを……


「もうすぐ帰ってくるよ」


 にこり。

 そうしたら会えるね、なんて。

 まだ幼児だってのに、内心の読めない微笑みを見せる兄ちゃん。


 ……どんな親なのか、知らないけどさ。

 無性に会うのが怖いと感じるのはどうしてなんだろうな。


 俺、なんか前世で悪いことやったかな……?

 ついてないことばっかり、連続でやってくる。

 世の無情に思いを馳せて、俺は赤ん坊には相応しくない溜息を吐いた。





その後

 エシャロット君的には頭脳系チートっぽい感じに成長して自分の人生に一瞬わくわくしたものの、冷静になって周囲を見てみれば兄や双子の妹の方がチートだった上に父親は更にそれを上回るバケモノだったというオチ。

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― 新着の感想 ―
[一言] いつも楽しく読ませていたただいています!! 私には借りパクされた魂が作者様の某弟様の魂となっているような気がしてならないです…
[一言] 楽しみにお待ちしております。楽しみに読ませて頂いております。 あぁ、また別の犠牲者が。
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