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第十三話  ふれあい

 私の大切な若君様。


幼かった貴方様が、日一日と美しい少年へとご成長されてゆくのをお傍で拝見させて戴ける事が、私の至上の喜びでございました。


おこがましくも私は、貴方様を恋い慕うあまり、いつの間にか、まるで私の為に大きくなってくだされておられるような、そんな身勝手な錯覚まで、抱いてしまうようになっておりました・・・。


結局、その日青馬様が屋敷に戻られたのは、夕刻になってからの事でした・・・。



◇◇◇◇


 青馬様が戻られたとの知らせに、私が直ぐ様お出迎えに上がりますと、そこには、昨夜迄とはまるで別人のような、凛々しく逞しい若者が立っていらして、皆一様(みないちよう)に言葉を失うておりました。


たった一日でいったい如何なる変化が有ったのでございましょうか、その瞳にも、その腕にも、その肩にも、その背中にも、一切、昨日迄の少年の面影は無く、そこに立って居られるのは、最早一人前の若者でございました。


私はその精悍なお顔を拝した途端、泣きたくなりました。私にはその答えが直ぐに解ってしまうたから。


珠姫様と触れ合われたのです!


青馬様のお顔からは、昨日迄の憂いも迷いも何もかもが消え失せておられました。今、そのお顔に浮かぶのは、愛する御方を得た自信と余裕、そしてその御方を守るという殿方としての強い使命感のみにございました。


(嗚呼、何という事でございましょう!)


私が貴方様を変える者でありたかったのに。ずっと長い間、ただひたすらに、その日を待ちわびておりましたのに。それなのに貴方様は、いとも簡単に私の夢を打ち砕く。


私がやりきれない想いを抱えながら、自室に戻ろうと廊下を歩いておりますと、


「菫様!」


後ろから声が掛かりました。


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